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【ZOOM東北】宮城発 仙台港コンテナ貨物取り扱い好調 港湾機能強化へ新岸壁整備

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【ZOOM東北】
宮城発 仙台港コンテナ貨物取り扱い好調 港湾機能強化へ新岸壁整備

 東北唯一の「国際拠点港湾」である仙台塩釜港仙台港区(仙台港)で、コンテナ貨物の取り扱いが好調だ。東日本大震災からの復興需要にも支えられ、取扱量は平成29年まで3年連続で過去最高を更新。貨物の増加を見据え、仙台港では荷さばきや保管のためのコンテナターミナルの拡張事業が進む。9日には国と宮城県が新たに岸壁を整備し、ターミナルを広げる工事に着手。東北の物流拠点としての機能を強化し、利用促進を図っていく。(石崎慶一)

 ◆輸入増が貢献

 仙台港のコンテナ定期航路は北米、中国、韓国、ロシアへの国際航路が9航路、京浜港で積み替えて輸出入する国際フィーダー航路が8航路の計17航路となっている。コンテナ船は湾口近くの高砂埠頭(ふとう)(仙台市宮城野区)に接岸する。

 県港湾課によると、仙台港のコンテナ貨物取扱量は平成22年に過去最高の21万6142TEU(1TEUは長さ20フィートのコンテナ1個)を記録。23年は震災の影響で前年の半分以下に落ち込んだが、24年は復興需要を背景に17万2665TEUと復調。新規の定期航路の開設などが後押しとなり、27年の22万5259TEUから29年の25万8千TEU(速報値)まで、3年連続で過去最高を更新、「V字回復」を果たした。

 回復基調に貢献したのは輸入の増加だ。県港湾課は「震災後は復興関連の住宅用の製材が堅調だったが、復興需要が契機となり、日用品、雑貨が伸びたほか、太陽光パネルも増えた」と要因を挙げる。

 今年に入っても好調さは継続している。仙台港で本船荷役や船社の代理店業務を行う三陸運輸(塩釜市)の国際コンテナ事業部部長代理の武田佳信さんは「いまのところ、取扱量は前年比でやや多い」と語る。

 ただ取扱量の増加に対応するには、コンテナターミナルは手狭となっている。「コンテナを3段まで積んでいるが、高く積むと出し入れの効率は下がる」と武田さん。そこで県はターミナルを6ヘクタール広げて27ヘクタールに拡張する事業を進めている。ターミナル付近ではコンテナ待ちのトラックが列をなすが、出入り口を増設するなど円滑に作業できるよう整備。31年度末に完了の予定で、年間30万TEUの取扱量に機能を拡充する。

 国土交通省によると、仙台港は東北全体の取扱量の約半数を占める。国際フィーダーの取扱量(28年)は約9万TEUと全国2位で、物流拠点としての比重は大きくなっている。

 さらに港湾機能を強化するため、国と県は岸壁を太平洋側に190メートル延伸、ターミナルを4ヘクタール拡張する事業に着手。コンテナの積み降ろしを行うガントリークレーンを1基増設する。9日に着工式があり、35年度に完成する予定だ。

 ◆「沖待ち」解消期待

 東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所の遠藤直樹企画調整課長は「岸壁の延伸で、コンテナ船の『沖待ち』の解消が期待される。背後用地拡張により荷役も効率的になり、定期航路にとって重要な定時性の確保につながる」と信頼性が向上すると指摘する。

 今後は復興需要の落ち着きを見据え、輸出の増加が課題となる。輸出は自動車タイヤが好調だが、震災前には主要な輸出品だった水産物が、東京電力福島第1原発事故の影響で中国や韓国などで輸入規制措置が取られている。「いつ、どのように規制が緩和されるのかに注目している。水産物が戻ってくると、輸出がにぎやかになる」と武田さんは話す。

 新しい岸壁整備や機能拡充について、村井嘉浩知事は「ポートセールスでも強みになり、復興に弾みがつく」と期待感を示す。

 その上で「今後は水産物の輸入規制の国へのアプローチもさることながら、それ以外の国にも販路を広げていきたい」と話している。