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神栖で徘徊高齢者見守り訓練 認知症住民、地域で声かけ 位置情報確認システム実験も

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神栖で徘徊高齢者見守り訓練 認知症住民、地域で声かけ 位置情報確認システム実験も

 神栖市は、認知症を患った高齢者を地域が見守り、支えるまちづくりを進めている。徘徊(はいかい)する高齢者に声をかける模擬訓練や、認知症高齢者の位置情報を家族が確認できるシステムの実証実験を通じて、地域の“目”となる住民たちの関心を高め、事故や行方不明を防ぐ狙いがある。

 22日、同市木崎の神栖中央公園周辺で実施された訓練は、通行人たちに徘徊高齢者役の参加者に声をかけてもらうよう促す形で進められた。

 「どちらに行かれるんですか」

 「道は分かりますか」

 子供を連れて同公園に訪れていた主婦の黒沢英子さん(28)は徘徊高齢者役の女性にこう声をかけた。黒沢さんは「声をかけるのに勇気がいるが、これからは一人で歩いている高齢者を見かけたら話しかけてみようと思った」と語った。

 同市は昨年1月、市内に事業所を持つ製薬会社「エーザイ」と認知症への理解促進などを目的とした「認知症の方が安心して暮らせるまちづくり連携協定」を締結した。

 同社は昨年9月、ベンチャー企業「MAMORIO(マモリオ)」と連携して、認知症患者らの居場所を確認できる支援ツール「Me-MAMORIO(ミマモリオ)」の発売を開始した。

 ミマモリオは丸いボタン形状の小型タグ。近距離無線通信「ブルートゥース」が内蔵され、専用アプリを入れたスマートフォンや店舗などに設置されたアンテナの近くを通ると、サーバーを経由して家族らにタグの位置情報が通知される。

 この日は、徘徊高齢者役がタグを装着し、アプリやアンテナの作動を確認する実証実験も行われ、参加者らは「今この辺りを通った」「ちゃんと通知が来た」などと確認していた。

 訓練終了後の反省会では、「声のかけ方やタイミングが難しい」などの意見があった。ミマモリオについては、多くの人にアプリを入れてもらう仕組み作りなどの課題を挙げる声が多かった。

 神栖署によると、平成29年度に市内で保護された認知症とみられる高齢者は延べ100人超に上り、このうち行方不明届が出されたのは2割程度にとどまるという。

 同市地域包括支援課の大滝紀子課長は「認知症高齢者は今後さらに増える。今から地域で支える仕組みを作れるように訓練やシステムの周知を行いたい」と力を込めていた。(丸山将)