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「鞆の浦」が日本遺産に 歴史と伝統に新たな誇り

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「鞆の浦」が日本遺産に 歴史と伝統に新たな誇り

 地域の有形、無形文化財の魅力を発信するため、文化庁が24日、13件を新規認定した「日本遺産」。県内では、「瀬戸の夕凪(ゆうなぎ)が包む 国内随一の近世港町」と題して福山市が初申請していた鞆の浦が選ばれた。また、昨年度認定されていた「北前船寄港地」を構成する自治体が今回拡大され、県内では、尾道市の尾道水道に面した港町と瀬戸田地区、呉市豊町の御手洗地区が追加認定された。

 鞆の浦の認定を受け、シンボルの常夜燈前では、市が地元住民らとともに祝賀会を開いた。市民や観光客らに、東京で同日開かれた認定式の映像を紹介。宮田亮平・文化庁長官から認定証を受け取ったばかりの枝広直幹市長から「歴史と伝統が息づく鞆の浦に新たな誇りが加わった」というメッセージが届いた。

 常夜燈前では関係者がくす玉を割り、認定を祝福。地元園児の太鼓演奏の後、開催中の観光鯛網で伝統漁法を再現している地元漁師らが祝い餅をまいた。

 また市は、国道2号のJR福山駅前交差点に面して「祝 日本遺産認定」と記した懸垂幕を掲げたほか、駅周辺などで認定を伝える“速報”のチラシも通行人らに配付した。

 鞆の浦は、常夜燈が安政6(1859)年に設置され、今も夜通しあかりを灯している。石造りの雁木や石積みの防波堤の波止など近代港湾設備をはじめ、多くの船が寄港した当時の繁栄ぶりを示す商家や寺社なども数多く残り、江戸時代からの施設や遺構が現存する港町としては国内最大規模を誇る。

 日本遺産の認定には多くの国民に遡及する歴史を踏まえたストーリーが求められるため、市は申請にあたって「江戸時代の鞆の浦」に焦点を絞り、ストーリーを設定。「セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦」というサブタイトルを設定し、往時の姿が残る町並みで、今も住民生活が営まれている希少性を強調した。

 鞆の浦の認定について、湯崎英彦知事は「歴史的、文化的な価値がストーリーとして現代に脈々と受け継がれていることが認められた。国内外に向けて発信する機会になる。とても喜ばしい」と述べた。