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「福岡から九州盛り上げる」財界一丸、熱意通じる 施設サービスの充実が課題

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「福岡から九州盛り上げる」財界一丸、熱意通じる 施設サービスの充実が課題

 福岡空港の民営化をめぐり、西日本鉄道や九州電力などが主力の「地場連合」が優先交渉権を獲得した。福岡の財界が一丸となり進めた一大プロジェクトで熱意が通じ、地元には安堵(あんど)感が広がった。空港を含めた地域活性化について、意欲ある提案がライバルの企業グループを上回った。今後は巨額の運営権対価に見合う収益力の確保や空港施設サービスのさらなる充実が課題となる。

 「地元の大事な空港であり、選ばれて身が引き締まる思いだ。国との契約に向け、引き続き努力したい」

 空港運営の受け皿として、地場連合が作った福岡エアポートホールディングス(HD)の永竿(ながさお)哲哉専務(西鉄上席グループ理事)は16日昼過ぎ、国土交通省からの電話で吉報を知った。

 国交省の審査委員会(委員長、山内弘隆一橋大大学院教授)が優先交渉先の選考を進めた。今年3月から第2次審査に入り、1次審査を突破していた3つの企業グループの審査結果をこの日、公表した。

 審査は200点満点で、設備投資計画などの項目別に配点された。地場連合は169・7点で他の陣営に大きく水をあけた。

 地場連合には当初、懸念があった。選考基準では入札額(最低入札価格は1610億円)が最も重視され、配点全体の3割を占めた。その入札提示額ではライバル陣営を下回っているとの観測があった。

 5つの企業グループが参加した第1次審査を通過後、九電首脳は「他とはかなり開きがある。入札額の上積みは地場全体の収支計画に直結するだけに容易ではない」と打ち明けた。

 だが、複数の関係者によると、今回の審査では4千億円を上回る額を提示し、3陣営がほぼ並んだとみられる。

 「一つ一つの項目を丁寧に積み上げた」(福岡エアポートHD首脳)結果だった。勝敗を分けたのは国内・国外の新規路線の開拓策や旅客数の増加といった空港活性化策とみられる。

 項目別の得点は非公表だが、国内線と国際線ターミナル間の移動時間の短縮や、九州の玄関口として各地に乗り継ぐ長距離バスの充実といった提案が評価された。

 地場連合には、シンガポールで空港を運営するチャンギ・エアポート・グループ(CAG)が参画している。CAGにはアジア有数のハブ空港、チャンギ国際空港で2004年から13年間で利用旅客数を6千万人に倍増させた実績がある。

 同空港は英国の調査・格付け会社、スカイトラックスによる「世界空港ランキング」で2013年から6年連続1位だった。旅客数のアップや高水準のサービスを提供するノウハウを持つCAGと組んだ効果は大きかったようだ。

 ただ、地場連合の勝利は決して外資頼みではなかった。新規路線を誘致するにはなにより、受け入れ先の街の魅力向上が欠かせないからだ。その点、福岡都市圏の成長エンジンである天神地区の開発を長年担っている西鉄の存在は大きい。

 同社幹部は「空港は地域にとり、重要な拠点だ。国への提案では、福岡から九州全体を盛り上げるという視点を盛り込んだ」と明かした。

 九電も街づくりを重視する。これまでの調整役から、自らプレーヤーになろうと脱皮を図る。今年2月には大型の都市開発を担う新たな部署を発足させた。

 国管理から民営化第1号となった仙台空港など過去の審査では、空港活性化計画について、高い数値目標を掲げるだけでなく、その実現可能性についても厳しくチェックを受けた。地場連合は、福岡空港を都市と共に成長させる道筋を具体的に示し、審査を突破した。

 今後は、北九州空港との一体運営や、県内外からのアクセス向上などの具体化を図り、民間委託後にも安定して収益を上げていける態勢作りを進める。

 今回の結果は、福岡と同じく、地場企業が主体となり民営化を目指す熊本空港の運営権委託の動きにも弾みが付く。

 九電は熊本でも参画する構想を持つ。同社幹部は「熊本にも挑戦する大前提は、まずは福岡空港を(入札で)落とすことだった。今回のノウハウは、他でも使えるだろう」と語った。