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九州・山口地銀3月期決算 マイナス金利の逆風で半数減収 小規模銀行の苦境続く 

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九州・山口地銀3月期決算 マイナス金利の逆風で半数減収 小規模銀行の苦境続く 

 九州・山口8県の地方銀行の平成30年3月期決算が15日、出そろった。マイナス金利政策が長期化する中、売上高にあたる経常収益は21行中10行が前期比で減らした。本業のもうけを示すコア業務純益は、小規模5銀行で減少した。人口減少が進む将来を見据えれば、小規模銀行の生き残りには、再編や連携が不可避となる。(村上智博)

 「金利の影響は小さくなったが、下げ止まるのはまだ先だ。なんとかプラスに持っていきたい」

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の柴戸隆成社長(福岡銀行頭取)は決算発表でこう語った。

 ふくおかFGの最終利益は、過去最高の493億円だった。ただ、傘下3銀行の貸出金の利息収入をみると、熊本と親和(長崎県佐世保市)の2銀行は減少した。福岡銀行の増加分で補った形だ。

 柴戸氏は「(熊本、長崎では)貸し出しの伸びが、福岡ほど強くなかった」と述べた。地域の経済力の差が出たといえる。

 日銀のマイナス金利政策によって、貸出金利の低下が続く。預金金利との差である「利ざや」は縮小する。

 この減少分をカバーしようと、金融機関は貸出金のボリューム増を目指す。

 貸出先の1つに、自治体がある。

 ふくおかFGは自治体向け貸出金を、前期より4割近く増やした。貸出金全体の伸び7・1%に比べると突出している。

 このほか山口FG傘下の北九州銀行なども、自治体向け融資を2桁以上伸ばした。

 自治体への貸し付けは、焦げ付きなどのリスクがゼロに近い。貸出先に悩む地銀にとって、魅力的な案件だといえる。

 ただ、各地銀が自治体を狙う中で「さまざまな銀行から、低金利の提案があり、金利はゼロに近づいている」(福岡県財政課)という状況になった。安心できる貸出先だが、もうけは小さくなっている。

 さらに地方金融機関の使命は、地域産業の発展だ。自治体だけでなく、有望企業を発掘し、融資で成長を促すことが求められる。

 一方、低金利競争から脱しようという動きもある。

 「無理な金利競争に走るな。あまりに低ければ、案件を失っても良いから交渉をやり直せ」

 西日本フィナンシャルホールディングス(FH)の谷川浩道社長(西日本シティ銀行頭取)は、経営会議でこう号令をかける。合わせて、利ざや以外の「稼ぐ力」の必要性を訴える。

 西日本FHは、富裕層向けの投資信託の販売などに力を注ぎ、手数料収入を増やした。この結果、貸出金の利息収入は減ったが、本業のもうけを示すコア業務純益は増えた。

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 小規模銀行は今期も、厳しい状況が続いた。

 西日本FH傘下の長崎銀行をはじめ、筑邦(福岡県久留米市)、豊和(大分市)、宮崎太陽(宮崎市)、南日本(鹿児島市)の5銀行はコア業務純益が減少した。5銀行はいずれも比較的規模が小さい。

 このうち豊和、宮崎太陽、南日本は最終利益も減少した。

 反転攻勢へ3銀行は、融資先企業の販路開拓支援で提携した。県境を越えて、取引先へのサービスを充実させる。

 南日本銀行の斎藤真一副頭取は「保険など他分野とも提携し、きめ細かく金融サービスを提供する必要がある。今後は選択と集中をどこまで実践できるかが、重要となる」と語った。

 とはいえ、今後の人口減少を考えれば、小規模な金融機関の道は、険しさを増す。IT(情報技術)を活用した金融サービス「フィンテック」の導入には、一定の投資も必要となる。

 エリア内をみると、ふくおかFGや九州FGは統合効果を発揮し、総資産を伸ばした。金利低下に耐える余力もある。

 半面、小規模銀行が独立を貫くには、限界がある。厳しい環境が、経営統合だけでなく部分連合や業務提携などの合従連衡に、地銀を駆り立てる。