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林業技師・岸田日出男氏所蔵フィルム4巻発見 100年前の大台ケ原、瀞峡の映像を動画公開 奈良

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林業技師・岸田日出男氏所蔵フィルム4巻発見 100年前の大台ケ原、瀞峡の映像を動画公開 奈良

 約100年前に紀伊山地で撮影された映像フィルムが大淀町内で見つかり、町教委が公開している。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や、吉野熊野国立公園内の大台ケ原、さらに奈良、和歌山、三重の3県にまたがる国の特別名勝・瀞峡(どろきょう)でかつて盛んだった「いかだ流し」などの様子を収録。当時の人々の生き生きとした表情が、長らくの空白を経てよみがえった。

 見つかったフィルムは、大正11(1922)年8月に撮影された「吉野群峯(ぐんぽう)」(35ミリ、全3巻)の第2巻(15分44秒)と第3巻(8分48秒)、さらに翌年8月撮影の「瀞八丁実写」(35ミリ、7分47秒)と、昭和12(1937)年に制作された映画「熊野路」(12分31秒)の計4巻で、熊野路をのぞいて無音声。吉野熊野国立公園の指定(昭和11年)に尽力した吉野郡役所の林業技師、岸田日出男氏(1890~1959年)の大淀町内の自宅に残されていた。

 町教委が一昨年、岸田氏のひ孫から依頼を受け、段ボール箱60箱分の資料を調査。このうち1箱にフィルム4巻が収められていた。

 町教委によると、「吉野群峯」は旧内務省衛生局が撮影したもので、吉野地域を映像化した現存最古の作品という。撮影隊に同行した岸田氏が世界遺産の大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)を歩く様子や、郡山高等女学校の生徒が大台ケ原を登山する姿が映っている。

 「瀞八丁実写」は十津川村の依頼を受け、東京の撮影技師がフィルムに収めた映像といい、瀞峡で川下りをする舟や丸太を運ぶ「いかだ流し」を紹介。また、「熊野路」は当時の鉄道省が制作し、那智の滝(落差133メートル)など南紀熊野の名所や人々の暮らしが収録されている。

 町教委の松田度(わたる)学芸員は「世界遺産となった地域の昔の姿や、吉野・熊野地域の林業を知ることができる貴重な映像。高い価値がある」と話している。

 4巻の映像は「岸田日出男の遺(のこ)したもの」として、ダイジェスト版(3分)とともに動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されている。問い合わせは大淀町文化会館(電)0747・54・2110。