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きょうだいにも寄り添って 犯罪被害者支援、熊本県がサポートブック作成

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きょうだいにも寄り添って 犯罪被害者支援、熊本県がサポートブック作成

熊本県が作成した「サポートブック」 熊本県が作成した「サポートブック」

 ■警察庁協力「先進的な取り組み」

 犯罪被害に遭った子供やそのきょうだいを支援しようと、当事者の声を反映させた「サポートブック」を、熊本県が警察庁の協力を得て作成した。子供が殺害される事件などが発生した場合、支援対象は親が中心となり、きょうだいの存在は見落とされがちだとの指摘がある。警察庁は「先進的な取り組みで、全国初ではないか。各自治体に情報提供を行い、同様の視点が広がることを期待したい」としている。

 警察庁によると、平成16年の犯罪被害者基本法成立以降、政府はおよそ5年ごとに基本計画を策定しているが、「きょうだい」への支援については28年の第3次計画で明記した。近年、少年犯罪被害当事者の会が、きょうだい支援をテーマに掲げたシンポジウムを開催するなど、徐々に注目を集めている。

 熊本県がサポートブック作成に取り組んだきっかけは、29年春。被害者支援担当の寺川太佳子参事(55)が、16年に長崎県佐世保市で小学6年の妹を同級生に殺害された男性の講演を聴いたことだった。

 当時中学3年だった男性への取材では、学校で突然、妹の事件を報じる紙を渡され、何度もその場面を夢に見たという。父親を心配させまいと、無理をして明るく振る舞った。周囲から支援の申し出はほとんどなかった。翌年になり「自分が事件を防げたのでは」という思いにさいなまれ、不登校に陥った。

 寺川さんは「男性が抱えた思いを知って驚いたし、周りの人も、どうしたら良いか分からなかったのだろうとも感じた」と語った。

 男性に加え、3歳の娘を失い、他にも子供がいる父親に参加してもらい、支援を検討するワーキンググループ(WG)をつくった。「先進的だ」として、警察庁が予算を担い、同庁担当者も参加した。

 WGには、教育委員会や児童相談所の職員、スクールカウンセラー、被害者支援の専門家や精神科医も加わった。検討を重ね、3月下旬、サポートブックが完成した。

 内容は、思いを言い出しにくいという男性らの声を踏まえ「サインのない姿がサインの時もあります」と指摘。「あなたは悪くない」と伝える姿勢や、2次被害への警鐘も記載した。「親」「親戚(しんせき)や友人」「同級生の保護者」「学校や関係機関」といった、それぞれの立場に向けたメッセージや対応策も掲げた。1万部を随時、学校や関係機関に配布する。