産経ニュース

エスパルス新たな挑戦 外部のアイデアをクラブ運営に活用 静岡

地方 地方

記事詳細

更新


エスパルス新たな挑戦 外部のアイデアをクラブ運営に活用 静岡

 サッカーJリーグ1部の清水エスパルス(静岡市清水区)は4月から日本IBM(東京)と協力し、ベンチャー企業など外部のアイデアを同クラブのビジネスに活用する新事業「清水エスパルス・イノベーション・ラボ」を始めた。「新規ファン拡大」など5つのテーマでアイデアを公募し、実証実験などを経て、実際のクラブ運営に取り入れる。こうした取り組みはJクラブ単独では初という。今回の試みを地域を巻き込んだクラブ経営戦略の一つと位置づけ、担当者は「リーディングクラブとして取り組んでいきたい」と意気込んでいる。(石原颯)

                   ◇

 ◆地域の企業巻き込む

 Jリーグは15日、開幕25周年を迎える。エスパルスは中核となる経営母体を持たず、唯一の市民クラブとしてリーグ創設初年度から参戦。地元企業から小口のスポンサーを多数集め、地域に根ざしたクラブとして、“地域密着”を掲げるJリーグの理念を体現する存在だった。

 ただ、四半世紀が経過し、地域密着型の理念はリーグ全体に浸透しつつあり、市民クラブとしてのアイデンティティーを再構築する必要があると判断。「地域の企業も巻き込んでクラブを作る」(担当者)という発想に立ち、外部のアイデアをクラブ運営に生かす同プロジェクトを発足させた。

 募集分野は、試合観戦の魅力創出や飲食などの周辺サービスといった「スタジアムでの観戦体験」や、スポンサーの地域貢献活動を支援し地域経済の発展を進める「パートナーシップ」など5つ。具体例としては、「スタジアムでの観戦体験」の場合、スタジアムでの盛り上がりの状況を人工知能(AI)が察知して座席が振動する仕組みであったり、「パートナーシップ」の場合は、地域の店舗で利用できるポイント制度の活用などが挙げられる。

 ◆各分野でチーム選抜

 アイデアは、ベンチャー企業など同一企業内で5人以上のチームを組んで応募。書類選考を経て各分野1チームが選抜され、選ばれた5チームのアイデアに関しては、約4カ月、ワークショップを開催したり、IAIスタジアム日本平(静岡市清水区)などで実証実験を行った上で、最終的に採用の可否を判断する。

 各チームにはエスパルスや日本IBMのサポート担当がつき、実務的視点からアドバイス。クラブが持つさまざまなデータが提供されるほか、日本IBMが提供している新規事業を開発するベンチャー企業向けの起業支援プログラムも受けられる。

 エスパルス担当者によると、これまでアイデアを公募した事例はあるものの外部企業と提携したことはなく、今回のような取り組みはJクラブ単独では初としている。

 エスパルスは、12日に今後のスケジュールや募集内容について発表する予定だ。

 「新たな四半世紀を見据えた地域の象徴としての存在を目指したい」(担当者)-。「地域型クラブ」のパイオニアとしてJリーグを牽引(けんいん)してきたエスパルスの威信をかけた挑戦が始まった。