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春の褒章 静岡県から11人1団体

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春の褒章 静岡県から11人1団体

 平成30年の「春の褒章」(29日発令)が発表され、県内からは11人と1団体の受章が決まった。社会奉仕活動などの功績に対する緑綬褒章に1団体▽その道一筋の業務精励者に贈る黄綬褒章に3人▽公共の利益に尽力した人をたたえる藍綬褒章に8人が選ばれた。受章者は次の高みを目指し、たゆまぬ歩みを力強く誓った。このうち、黄綬褒章に輝いたホテルクラウンパレス浜松「鳳凰(ほうおう)」料理長の岡部悟さん(63)にこれまでの歩みを聞いた。 (石原颯)

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 ■黄綬褒章 中華料理人・岡部悟さん(63) 薬膳の味と効能を追求 

 「おいしく食べて健康であることが大事」。食材の効能を生かした薬膳料理。漢方のような癖のある風味は感じさせないのが岡部さんの流儀だ。

 味へのこだわりは苦い経験があるからだ。昭和56年に高松グランドホテル鳳凰の料理長に就任したが、前任の料理長と味が違うと客足が遠のいた。「育ってきた環境も違うので同じ味になるわけがない」。開き直ったわけではないが、前任者のまねではなく、純粋に自分がおいしい料理の味を追求して客足が戻った。

 62年にホテルクラウンパレス浜松の前身、浜松名鉄ホテルの鳳凰の料理長に就任すると、薬膳粥定食と月替わりの季節の素材を使った薬膳料理コースを出す。工夫を凝らし、日本人の舌に合わせた味は「薬膳なんて」と避けていた客にも受け入れられ、現在も同ホテルの“顔”となっている。

 北海道弟子屈町出身。6人兄弟の下から2番目で、家事の分担は料理担当。理由は「身体が一番弱かったから」。家事が料理人を目指すきっかけとなり、大阪の調理師学校へ。卒業後に師事した先輩に薬膳を勧められ、師匠の下で学んだ。

 鳳凰で料理を振る舞う傍ら、基本理論となる中医学理論を学び、薬膳の講演活動などの普及活動も地道に続け、今では各地から講演の依頼が殺到。栄養薬膳師の資格獲得の審査員も務めるなど後任の育成にも精力的に関わっている。

 元気の源は薬膳スープ。気を高める朝鮮ニンジン▽滋養強壮のタツノオトシゴ▽目と腎臓の機能向上に効くクコの実▽補血の働きのあるナツメの4種の漢方が入っている。「このスープを飲むようになってからは風邪で休むようなことはなくなった」という。

 次なる照準は静岡特産の「お茶」だ。中国神話に登場する農業の神様が1日に100の草木を食べて70の毒に当たり、解毒にお茶をかんだ伝承があり、“食べるお茶”を使った薬膳の開発を進めている。

 少子高齢化社会の中で、健康寿命の増進につながるとされる薬膳の注目度は上がっている。自分で言うのもおかしいがと前置きした上で、「ただ食事をするだけではなく効果効能を高める食事を勧める。いい仕事をしているのではないか」と笑顔で締めくくった。

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 ◆喜びの受章者

 ▽緑綬褒章(1団体)    

藤枝市花の会 環境美化奉仕団体 藤枝

 ▽黄綬褒章(3人)     

岡部  悟63ホテルクラウンパレ

ス浜松鳳凰料理長     浜松

鈴木 市代81行政書士   袋井

中野 弘道71焼津谷島屋社長 焼津

 ▽藍綬褒章(8人)     

赤堀 規子70元調停委員 牧之原

岩城  学71元調停委員  浜松

勝亦 純野68調停委員   三島

加藤 文夫77保護司    富士

鈴木 通保70元民生・児童委員 清水

福島 京子67調停委員  富士宮

蓑川 恵子68調停委員   島田

山際 恵子76保護司    静岡

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 【名簿の見方】氏名、年齢、経歴、現住所(市名)の順。年齢は発令の29日現在。経歴の「元」には「前職」を含む。氏名の字体は共同通信社が使用中のものを基準。敬称略。