産経ニュース

熊本地震の震災関連死43人が病院「被災」が一因

地方 地方

記事詳細

更新


熊本地震の震災関連死43人が病院「被災」が一因

 熊本県によると、昨年末までに熊本地震の震災関連死として認定された197人のうち、2割にあたる43人について、病院の被災による初期治療の遅れが原因の一つだったことが判明した。医療機関の機能停止が災害時の課題として浮き彫りになる中、病院の耐震化を促す動きや、受診可能な医療機関を紹介する仕組みづくりに関心が集まっている。

 同県が、関連死認定の際の報告書に基づき複数回答の原因を分類した。それによると、宇城市の60代男性が断水の影響で、病院での人工透析ができなくなり、その後、自宅で死亡した。八代市の60代男性は、予定していた手術の延期で病気が進行、約半年後に亡くなったという。

 熊本地震では、熊本県内896の医療機関が一時機能停止になり、15機関の入院患者ら計1290人が転院を余儀なくされた。治療継続の困難で死亡した人の中には、転院が複数回に及んだ人もいた。

 県は28年10月以降、耐震性が国の基準を満たない74病院に繰り返し、耐震化工事を呼び掛けた。ただ多くが建て替えを必要とし、国の補助金制度(最大2億2千万円)を利用しても費用が足りないとしている。県は国に増額を求めた。

 他の県では、医療機関の機能停止を前提とした対策も進む。

 福岡県は、17年の福岡西方沖地震で電話が通じにくくなったことを受け、透析患者が防災メールを通じて、かかりつけ医に受診が可能かどうかを確認する仕組みをつくった。病院が被災するなどして治療ができないと分かった場合は、診療可能な医療機関の情報を閲覧できる。

 29年6月現在で、約2800人の患者が登録している。福岡県はさらに多くの人に利用してほしいと今年3月、チラシ2万枚を作成し、患者団体などに配布した。県の担当者は「こうした取り組みが広がれば、患者の安心につながる」と話した。