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熊本地震 仮設暮らしの小料理店おかみの思い「100歳までは続けないかんね」

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熊本地震 仮設暮らしの小料理店おかみの思い「100歳までは続けないかんね」

 ■必死に守ったおでん支えに

 熊本地震の激しい揺れから必死に守ったおでんが自慢の小料理店が、熊本市中央区の繁華街にある。自宅が全壊した71歳のおかみは、地震から2年が経過した現在、仮設住宅で暮らす。元気いっぱいに店を切り盛りする姿や地震を乗り切ったおでんの味が、常連客らの心のよりどころとなっている。

 「仮設暮らしも、慣れたら意外と楽しいたい!」

 小料理店「たんたんたん」のおかみ、浜田順子さんの声が、20席ほどの店内に響く。

 平成28年4月16日、益城町の自宅が、同町で2度目の震度7を記録した「本震」で全壊した。避難所生活を経て、益城町の仮設団地に娘、孫2人と住む。

 最初の激震「前震」の夜は営業中だった。突然の揺れに、とっさにおでんに覆いかぶさっていた。

 「私の大事なおでん!」。十数年つぎ足してきただし汁。大事に冷蔵庫にしまった。

 店内は2度の大揺れでめちゃくちゃに。壊れた家は、その7年前に亡くなった夫が「広い家に住もう」と建ててくれたものだった。「何もかも失った」。悲しすぎて涙は出なかった。何もする気が起きないまま避難所で時間だけが過ぎた。

 「寂しいけん、早く店開けて」。地震から約半月後。常連客からの電話ではっとした。

 「私には店がある。守ったおでんのだし汁がある」。地震の約1カ月後、店を再開した。常連客と家族に囲まれ、地震後初めて涙がこぼれた。常連客も「被災の不安も、ここに来ると忘れられる」と話した。

 前震から2年となった4月14日、店内は満席だった。「若いお客さんが多いけん、100歳までは続けないかんね」。浜田さんは、一日でも長く、笑顔で店に立ち続けたいと思っている。