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【企業訪問 製茶編】丸七製茶(島田市本通6) 絶えず先進、「抹茶」追究

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【企業訪問 製茶編】
丸七製茶(島田市本通6) 絶えず先進、「抹茶」追究

 旧国道1号沿いに斬新な和風の外観、静岡抹茶ファクトリー「ななや藤枝店」がある。ここは明治40年創業の製茶会社「丸七製茶」(本社・島田市)の直営1号店だ。丸に七と書かれたのれんをくぐると、木をモチーフにしたナチュラルな雰囲気の店内。一番目立つ場所に置かれたショーケースに「世界で一番濃い」で人気を博した色とりどりのジェラートが並ぶ。

 創業109年。茶葉の栽培・育成から加工・商品化を主な商いとしてきた。しかし、製茶業界は昭和50年をピークに衰退の一途をたどる。その打開策として県内で初めて地産の抹茶作りに挑戦した。新茶のオンザロックなど「お茶の楽しみ方」を発信し、絶えず先進的な取り組みを展開。しかし、鈴木成彦社長(53)は「このままでは宇治抹茶に勝てない」との思いから、フェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)への取り込みを模索し、若者を照準に情報発信した。

 平成22年に「地元の抹茶の品質の良さを伝えたい」という思いから「ななや藤枝店」を出店。静岡抹茶による生クリーム大福やまんじゅう、ロールケーキなど、次々と新作を生みだす中で登場したのが、濃さが選べる抹茶ジェラートだ。藤枝産の茶葉は濃厚さがあり、加工しても素材の味が消えないため、お菓子作りに適していた。

 「心理学的に選択肢は7までがいい」ということと、丸七製茶の「七」を掛けて7段階の濃さに決めた。23年から3年連続で農林水産大臣賞を受賞。多様な味を試そうと、老若男女関係なくリピーターが続出して、製茶直営店の抹茶ジェラートの先駆けともいえる存在となった。

 静岡市の中心街などで製茶会社直営のカフェが出店しているが、「品質はどこにも負けていないから気にしていない」と鈴木社長。近年のカフェはスタイリッシュな外観・内装のものが多いが「格好つけるよりもおいしさを求めたい」「オープン初日が1番格好いいのは恥ずかしい。絶えず未完成でいるようにしている」とスペインの“サグラダ・ファミリア式”のようにシンプルに努力を積み重ね、成長することがモットーだ。

 「焼き菓子では(茶の)素材の良さが消されてしまうため、当初からジェラートとチョコレートを考えていた」

 昨年11月に7段階の濃さが選べる抹茶チョコレートを販売。香料、添加物はなく県産100%のミルクを使用。一番濃いナンバー(No.)7は、高級抹茶20%超入りで「過剰に濃い」と認めながらも、「こんなに濃い抹茶チョコを他所が作ってもこの味が出せるのか…」と自信をのぞかせる。現在は生産が追いつかない程で、抹茶ジェラートに負けず劣らずの人気商品となった。

 今年1月には「ななや京都三条店」をオープン。東海道の終着点が京都の三条大橋であり、近くにフランスや米国の専門店が密集するチョコ激戦区だ。世界一のお茶チョコを目指して、鈴木社長は「あえて京都に出店した。京都に“参上”ってね」とちゃめっ気たっぷりに話す。お茶の都・京都で世界に向けて発信しようとする意気込みは強く、先を見る目は真剣そのものだ。

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 ◆イチ押し! 黒カップチョコ抹茶No.1~7

 抹茶ジェラードと同様に7段階の濃さが選べる黒カップの抹茶チョコレート。チョコを加工しやすくするレシチンは使わず、原材料はカカオと砂糖、お茶、ミルクのみ。1番濃いナンバー(No.)7はこれまでに撹拌(かくはん)機が3、4回壊れたというほどの濃さだ。鈴木成彦社長は「これほど濃くてもおいしいのは品質が良い証拠」と太鼓判を押す。

 「会議前など目を覚ましたいときはNo.7、のんびりと食べたい場合はNo.4かNo.3、お茶しながらや子供にはNo.1」(鈴木社長)とTPOでの食べ分けを推す。抹茶とほうじ茶に加えて、玉露、玄米茶、和紅茶、ミルクの新作もある。

 黒カップチョコ抹茶No.1~6は360円、No.7は390円で販売している。(吉沢智美)