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北秋田市、マタギ文化象徴キャラ復活 矢口高雄氏「かけるくん」、伝承目指し

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北秋田市、マタギ文化象徴キャラ復活 矢口高雄氏「かけるくん」、伝承目指し

 「釣りキチ三平」で知られる県出身の漫画家、矢口高雄氏(78)が、マタギの里とされる旧阿仁町(現在の北秋田市)の依頼で20年以上前に描き下ろしたマタギの子供のキャラクター「かけるくん」を北秋田市が復活させる。近年のジビエブームや獣害の影響でマタギへの注目が高まってきた背景があり、同市では「マタギ文化を広く知ってもらうシンボルにしたい」と話している。(藤沢志穂子)

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「かけるくん」は旧阿仁町が平成7年、町制40周年を記念して矢口氏に制作を依頼したオリジナルキャラクター。マタギの子供が猟銃をかついで野山を「駆ける」姿を描いた。当時は町の文具などに使用されたが、17年に4町統合で発足した北秋田市には引き継がれなかった。道の駅「あに」(北秋田市)など一部でその姿が残っている。

 一方、矢口氏が旧阿仁町などを舞台に描いた作品「マタギ」(昭和50年発表)が昨秋、山と渓谷社(東京)から文庫版で復刻され4月現在、9刷3万部と出版不況の中では異例の伸びを示している。ジビエや獣害の影響で、マタギへの関心が高まってきた背景があるとみられる。

 そこで北秋田市は「観光客誘致に『かけるくん』を再び活用できないか」(津谷栄光市長)と矢口氏に打診した。矢口氏は快諾し、「『マタギの子供』をイメージするのに締め切りギリギリまで苦労した思い出深いキャラクター。復活は大変うれしい」と話す。

 北秋田市ではサンリオの人気キャラクター「ハローキティ」をふるさと大使に起用する一方、「かけるくん」は旧阿仁町を中心としたマタギ文化のシンボルとしたい考え。今夏の使用開始を目指して、補正予算で関連費用を計上する。民間にも使用を開放する方針で「マタギはブーム先行できちんと理解されていない。『かけるくん』を、マタギ文化を正しく伝えるためのシンボルにしたい」(商工観光課)という。

 矢口氏の作品は最近、再評価の機運が高まってきた。講談社(東京)の漫画誌イブニングでは「釣りキチ三平」(昭和48~58年、少年マガジン連載)のスピンアウト版として、登場人物の1人を主人公とした「『バーサス魚紳さん!』~釣りキチ三平外伝~」(立沢克美作画)の連載が4月下旬から始まる。さらに、クマの獣害やマタギの暮らしを描いた旧作「野生伝説」(戸川幸夫原作、平成7年発表)が6月、山と渓谷社から復刻される。