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和歌山県庁本館竣工80周年 空襲にも耐えた“歴史の証人” 15日に記念見学会

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和歌山県庁本館竣工80周年 空襲にも耐えた“歴史の証人” 15日に記念見学会

 戦前に建てられ、県政の象徴として親しまれてきた県庁舎本館(和歌山市小松原通)が15日、竣工(しゅんこう)から80周年を迎える。市内が焦土と化した昭和20年の和歌山大空襲にも耐え、戦後には昭和天皇が宿泊された“歴史の証人”とも言える建物で平成25年には国の文化財に登録された。2年前には建設時の写真が多数見つかり、当時の様子が詳しく分かってきたという。同日には写真の複写を本館に展示したり、県教委職員が館内を案内したりする記念見学会が催される。

 県教委文化遺産課によると、本館は昭和13年に建設され、4月15日に竣工式を迎えた。当時は、首都圏に甚大な被害をもたらした大正12年の関東大震災の記憶が生々しく残っており、県は耐震性に優れた建物を計画。安田講堂などを手がけた東京帝国大の教授で、鉄筋コンクリートの第一人者だった内田祥三(よしかず)氏を建築顧問に招いた。

 完成した建物は、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)の4階建てで、延べ床面積は約1万平方メートル。荘厳さと近代的な要素を織り交ぜた「ネオ・ルネサンス様式」のデザイン性にも優れた外観で、現在も式典などで使われる4階の正庁は、鳳凰(ほうおう)をかたどった金の彫刻や黒漆が施され、当時としても格調高い造りとなった。

 竣工式から7年後、和歌山市内は市域の7割を焼失した空襲に見舞われたが、本館はこの戦火にも耐え抜き、昭和22年には県内を巡幸された昭和天皇が訪れた。戦後の混乱期だったため、宮内庁は「できるだけ簡素に」と要望。昭和天皇は本館内の知事室にベッドや屏風(びょうぶ)を持ち込んで宿泊され、側近らも館内に泊まったという。

 建築時に関係者らがこだわった耐震性は現在も申し分なく、平成17年に耐震診断を実施した際には、「大きな補強は必要ない」との結果が出たほど。戦前に建てられた都道府県庁で現在も使用されている9つの庁舎の1つでもあり、25年には歴史的な価値が認められ、国の登録文化財となった。

 竣工80周年の節目となる15日の記念見学会では、設計に携わった技師の遺族から寄贈された当時の写真の複写を館内にパネル展示するほか、同課の職員や県建築士会のメンバーらが建物の歴史や見どころなどを紹介。普段は入ることができない正庁も案内する。同課の担当者は「県庁の歴史や魅力を改めて多くの方々に知ってほしい」と話した。

 見学会は、同日の午前10時と11時の2部制で行われ、いずれも1時間を予定している。参加希望者は、それぞれの開始時間の20分前に同館正面玄関に集合。申し込みは不要で、駐車場は最寄りの有料駐車場を利用する。入場無料。問い合わせは同課(電)073・441・3738。