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翻弄された諫早干拓 福岡高裁が和解勧告「基金案は現実的」

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翻弄された諫早干拓 福岡高裁が和解勧告「基金案は現実的」

 国営諫早干拓事業は、有明海西部に位置する諫早湾の奥部を全長7キロの潮受け堤防で閉め切り、約670ヘクタールの干拓農地とする事業。平成元年に着工し、9年に堤防閉め切り、20年に完成した。総事業費は2530億円。現在、約40の法人・個人が営農する。

 沿岸の漁業者らは平成14年、閉め切りによって養殖ノリやタイラギに被害が生じたとして、工事中止を求めて提訴。22年の福岡高裁は開門調査を命じる判決を出し、国が上告しないことで確定した。

 一方、干拓地営農者ら諫早の地元住民は、開門すれば農地の塩害に加え、水害対策など防災面で不備が生じるとして、開門しないよう求めて提訴した。長崎地裁は29年、開門差し止めを命じる判決を出した。国は控訴せず、「開門しない」という姿勢を明確にした。その上で、「開門しない代わりに、国が100億円の漁業振興基金を設ける」という基金案を提示した。

 福岡高裁(西井和徒裁判長)は今月5日、「混迷した状況を打開する唯一の現実的な方策」として、基金案による和解を勧告した。

 基金案について、福岡、熊本両県の漁協は受諾方針を示した。開門派の弁護団は、受け入れを拒否した。

 ただ、佐賀県有明海漁協は14日、勧告に従って和解協議を求める方針を表明した。