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ドラレコで運転チェック 南部署の高齢者に貸し出し1年、意識高まるも自主返納はゼロ

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ドラレコで運転チェック 南部署の高齢者に貸し出し1年、意識高まるも自主返納はゼロ

 南部署は65歳以上の高齢者にドライブレコーダーを貸し出し、返却時に録画画像を見せて交通事故防止につなげる取り組みを行っている。スタートから1年。同署によると、体験した多くの高齢ドライバーに、運転免許証の自主返納への意識が高まったという。ただし、実際に返納した人はまだいない。同署は管内の3町に対し、返納者に町営バスなどの利用で優遇を検討することなどを呼びかけていく。 

 取り組みは、県内12署のうち、南部署が「高齢者の安全運転意識向上と免許自主返納の検討などを考えるきっかけに」(交通課)と独自に行っている。

 背景には、同署管内3町の高齢化率(平成29年、県まとめ)の高さがある。南部39・4%、身延43・3%、早川48・3%と、いずれも県平均(28・8%)を大きく上まわっている。

 南部交通安全協会が昨年年3月、車のルームミラーに取り付けるタイプのドライブレコーダー(約7千円)を8台購入し、同署に貸与。交通課を中心に、高齢ドライバーに体験を呼びかけた。これまでに南部で16人、身延で13人の計29人がドライブレコーダーを借りた。

 約1週間後、返却の際に録画された映像を署員が見て、運転のくせや問題点を本人に指摘した。

 参加した身延町下山、町社会教育委員長、川窪東海彦(とみひこ)さん(78)は「一時停止やウインカーを出すタイミングが、自分で思っていたより遅かったと気づかされた。今すぐは無理だが、自主返納する時期を具体的に考えるきっかけになった」と話す。

 同署交通課によると、29人のほとんどが体験後、同様の感想を語っていたという。ただ、3町内の公共交通機関はJR身延線と町営バスなどに限られ、便数も少ないため、自主返納した人はまだいないという。

 同署は「安全意識は高まったが、課題は運転技術の低下した人が生活への影響を考え、自主返納をしてない点」(交通課の重森史英主任)という。

 今後、自主返納者が町営バスや福祉タクシーを利用する場合、優遇措置が受けられるよう各町に協力を求めていくという。

 南部町の佐野和広町長は「具体的な施策は決まってないが、自主返納者に何らかの対策を検討したい」としている。