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元なでしこ・山郷さんがエルフェンのコーチ就任 「裾野広げ子供の憧れに」

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元なでしこ・山郷さんがエルフェンのコーチ就任 「裾野広げ子供の憧れに」

 狭山市で誕生し、現在飯能市を活動拠点とする女子サッカーチーム「ちふれASエルフェン埼玉」が21日に開幕する新シーズンに向け、監督・コーチ陣を刷新した。新たなヘッドコーチ兼ゴールキーパー(GK)コーチは、元サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」の山郷のぞみさん(43)。旧大宮市(現さいたま市)出身で長年日本代表のゴールを守り続けた女子サッカー界の“レジェンド”を投入し、なでしこリーグ1部への返り咲きを目指す。

 ◆競技の“栄枯盛衰”体験

 「女子チームの指導をするなら、エルフェンと決めていました」。現役最後の2年間をエルフェンで過ごした。「ベテランの力が必要」と誘ってもらった恩を返す番がやってきた。県内出身者としての強みを生かし、県内の高校などを巡って有望選手の発掘も行っていく。

 山郷さんは平成の日本女子サッカーの「栄枯盛衰」を選手として体験してきた1人。平成12年開催のシドニー五輪の出場を逃したときは、女子サッカー熱が一気に冷め、企業支援の撤退、縮小を招いた。

 「自分たちだけでなく、未来の選手たちの目標も失わせてしまう。『日本代表はそれくらい背負い込まないといけない立場なんだ』と実感しました」

 不遇の時代から抜け出すきっかけになったのが、16年アテネ五輪への切符がかかったアジア予選の決勝トーナメント。当時アジア最強といわれた北朝鮮と対決した。

 「シドニーに続いてアテネもダメとなったら今度こそ女子サッカーが終わってしまう」。そんな思いを控え選手を含む全員が抱きながら戦った。結果は3対0の完勝。山郷さんにとって、人生で一番印象に残っている試合だという。

 その後、日本女子サッカーは「なでしこジャパン」と愛称が付き人気スポーツに。特に23年のFIFAワールドカップ優勝、24年のロンドン五輪銀メダルと実力も備えた。「これだけ人気が出た今こそ、女子サッカーの裾野をしっかり広げて、子供たちが憧れを抱くような存在になるべき」。厳しい時代を乗り越えてきただけに、慢心はない。

 ◆リーグ1部昇格へ全力

 目下の目標は昨年なでしこリーグの2部に降格したエルフェンを再び1部に昇格させること。「女子チームを指導するのが初めて。コーチとしてまだまだ」と話すが、チームに在籍する3人の若手GKへの指導は特に熱を帯びる。「私よりもポテンシャルが高いのに、どこかで現状に満足してしまっているように感じる。日本代表や世界で戦っていきたいのなら、もっと強い気持ちを持って上を目指してほしい」。期待しているからこそ、厳しい言葉を投げかける。

 「自分の考えをずらさず、正確に選手に伝えていくことができれば、コーチとして認められるはず」。サッカー人生の“後半戦”のホイッスルは鳴ったばかりだ。(大楽和範)

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【プロフィル】やまごう・のぞみ

 旧大宮市(現さいたま市)出身。旧本庄女子高(現本庄第一高)でサッカーを始める。現役生活21年。日本代表(国際Aマッチ)で96試合に出場、なでしこリーグには浦和レッズレディースなどで326試合に出場した。平成23年にはなでしこジャパンのメンバーとして国民栄誉賞受賞。2月1日付でちふれ化粧品(川越市)に入社した。