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群馬県、わたらせ渓谷鐵道支援へ5カ年計画 駅前整備が軸 日光からも誘客

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群馬県、わたらせ渓谷鐵道支援へ5カ年計画 駅前整備が軸 日光からも誘客

 群馬、栃木の両県を結び、利用客の減少で慢性的な赤字に苦しむ第三セクター「わたらせ渓谷鉄道」(わ鉄、みどり市)について、県は、緊急対策として駅前整備などを軸とした5カ年計画を策定し、実行に移す。終着駅の間(ま)藤(とう)駅(栃木県日光市)近くにある国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産「日光の社寺」からの誘客も図る。(吉原実)

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 1日の県議会一般質問で、自民党の須藤昭男県議の質問に中島聡県土整備部長と真下英明観光局長が答え、明らかにした。

 わ鉄は、沿線地域の少子高齢化に伴う急激な人口減少などの影響で、ピーク時の平成6年度に106万人超だった輸送人員の減少に歯止めがかからない。

 県によると、28年度は約41万人で、そのうち6割が観光客。定期利用者が多いという桐生-大間々駅間でも20年後には約3割の減少が見込まれるという。

 29年3月期の鉄道事業の営業収益は前期比7・3%減の2億817万円で、営業損益の赤字幅は2741万円縮小したものの、1億3384万円。最終損益の赤字幅は約1・8倍の421万円に膨らんだ。

 5カ年計画は30年度新規事業「交通まちづくり戦略」に基づくもの。桐生-大間々駅間では駅前整備に重点を置き、観光客が大半を占める大間々-間藤駅間は観光に特化したソフト面での施策を実行する。

 日光市には毎年、安定して約1千万人の観光客が訪れる。須藤県議は、同じく世界遺産の富岡製糸場(富岡市)と連携する広域観光も念頭に、「(全体の1割に当たる)100万人が日光市から群馬県内に入ってくる際に利用すれば、現在の乗降客数の約3倍にもなる」と述べた。

 ただ、間藤駅から「日光の社寺」周辺までの約20キロを結ぶ公共交通機関は路線バスしかない。このため、わ鉄は来年3月に開業30年を迎えるのを見据え、記念事業として貸し切りバスを利用したツアーを4~6月に相次いで実施する。

 県の支援も受けて計画されたもので、神戸(ごうど)駅周辺に咲く、さわやかなピンクのハナモモとソメイヨシノの「競演」が楽しめる恒例の「花桃まつり」が開かれる4月7、8日に予定される「春の花祭りフリープラン」(大人1850円、小学生930円)では、片道の貸し切りバスと、列車を1日乗り放題の「フリーきっぷ」を利用し、両県を横断できる。

 県の担当者は「なんとしても、わ鉄を利用してもらい、日光から県内への誘客につなげたい」としている。

 わたらせ渓谷鉄道 JR両毛線桐生駅から間藤駅(栃木県)に至る計17駅(無人12駅)、延長44・1キロの路線。前身は、銅山の銅を運ぶ鉄道として大正3年に全線開通した旧国鉄足尾線。国鉄再建法により、群馬県などが出資する第三セクター鉄道に転換し、平成元年に再スタート。鉄道事業のほか旅行業、浴場業(水沼駅温泉センター「せせらぎの湯」)、飲食店業(神戸駅構内のレストラン「清流」)などの事業を展開している。