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東海道を歩いて描いた61枚 堺のAjuさんが線画の個展

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東海道を歩いて描いた61枚 堺のAjuさんが線画の個展

 堺市西区在住の女性アーティスト、Ajuさん(28)が、東海道五十三次や京街道をたどりながら、東京から大阪まで計697キロを58日間かけて歩いて描いた線画などの個展を同区で開いている。

 Ajuさんは、0・05ミリのサインペンで綿密な風景の線画を描く画家。大学時代、相手の意図をくみ取りにくい「自閉症スペクトラム」と診断され、そのころから本格的に線画を描くようになった。これまで数々の個展を開き、仁徳天皇陵古墳など堺市の風景を描いた線画は、堺市消防局のポスターや手ぬぐいになるなどしている。

 平成28年3月から1年間東京で働き、その頃、放浪の画家、山下清が東海道五十三次を歩いて描いた作品に出合った。Ajuさんは「私も作品を描きながら歩きたい」と徒歩で自宅に帰ることにしたという。

 29年4月1日に東京・日本橋を出発、東海道から京街道を経て、堺市の自宅まで毎日15~20キロを歩きながら、小田原城(神奈川県)や寺田屋(京都市)、どこまでも続く山道や茶畑、寺や古民家など、印象に残った場所や風景を計61枚描いた。作品は道中、下宿先の恩師、永浜明子立命館大准教授に送っていたという。

 旅は、Ajuさんに変化をもたらした。これまでは、四角や直線にひかれ、写真や記憶をもとにビルや住宅の窓の数まで正確に描くことに重きを置いてきたが、毎日歩くと、アスファルトと日陰の黒には違いがあることに気がつき、初めて鉛筆を使ってみた。すると、書き上がった作品に濃淡が生まれた。次第に雲の形や木の葉や影などにも目がいくようになり、「旅するうちに、表現の幅が広がった」という。

 最近は、スケッチもするようになり、自然を描きたいという気持ちも芽生えてきたという。「描くときに、季節感を感じるようになった。今後は、風の動きも表現できるよう、創作を続けていきたい」と意欲を見せた。

 18日まで(月、火曜休み)。堺市西区鳳南町「レリック ギャラリー&カフェバー」(電)072・273・3976で。