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【東日本大震災7年】避難者に広がる経済格差 隣人として交流継続を 山梨

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【東日本大震災7年】
避難者に広がる経済格差 隣人として交流継続を 山梨

 □「結ぶ会」事務局長藤原行雄さん

 平成23年3月11日の東日本大震災後に福島などから県内に避難した人たちを、ボランティアで支えてきた人がいる。「山梨県内避難者と支援者を結ぶ会」(結ぶ会)の事務局長、藤原行雄さん(65)だ。避難者の声を丁寧に聞き、関係機関・団体との「つなぎ役」となって奔走した。あれから7年。最大の問題は「避難者内の経済格差」と言い切る。「継続して向き合いたい」と交流の大切さを強調する。藤原さんの軌跡と思いを聞いた。 

 --震災からもう7年になる。今の思いは

 山梨へ避難してきた方々の理由は、「親類がいる」「子供のことを考えた」などさまざまだが、それぞれが置かれた環境で必死に頑張ってきたと思う。

 --「結ぶ会」に携わったきっかけは

 当時も今も、人材関係のコンサルティングが本業。震災直後、県内で発足した福島出身者の県人会の会長と知り合いだった。県人会は支援物資を集めていたが、「避難者数や避難場所などの情報が入りにくい」と相談を受けた。ネットワーク作りに役立てば、と引き受けた。その後に「結ぶ会」をスタートした。

 --当時、どんな活動から始めたか

 まず、市町村のほか、弁護士会や医師会、「フードバンク山梨」などに声を掛け、協力団体になってもらった。法律、医療や食料支援で、避難者と専門家をつなぐ仕事をした。

 次に避難者の個別相談を始めた。「話を聞いてほしい」「同じ境遇や出身地の人と話したい」「賠償手続きがよく分からない」「気持ちの整理がつかない」といった悩みが多かった。そこで、避難者と支援者との交流会を始め、子供向けに人形劇なども見せた。

 --今、県内の被災者にとって何が問題か

 県は29年3月、原発事故で自主避難してきた世帯の家賃補助をしてきた「みなし仮設」の制度を打ち切った。やむなく生活保護を受ける世帯が出てきた。働く夫を福島に残した母子世帯や母子家庭。特に、学校に通う子供を持つ母親の経済状況は大変だ。

 県内に来て新たな事業に取り組んで成功した世帯との経済格差が最大の問題だと思う。

 --県民に呼びかけたいことは

 近所に避難者がいたら、普通の隣人として付き合ってください。県民も、報道機関も、震災の起きた3月だけでなく、できるだけ多くの機会に避難者に関心を持ってほしい。

◇ 永住希望 過去最高63% 88世帯回答

 「東日本大震災・山梨県内避難者と支援者を結ぶ会」(結ぶ会)が平成23年12月から継続して実施しているアンケートで、本県への避難者のうち永住を希望する世帯の割合が、過去最高の63%に達した。

 最新のアンケートは1~2月、市町村経由で対象の全205世帯に配布し、88世帯から回答を得た。

 このうち、「将来展望」に関する質問では、地元に「すぐ帰りたい(一時避難)」「将来帰りたい(将来帰郷)」とした世帯が23年は42%を占めたが、直近では19%まで減少した。

 一方、山梨に「一生住みたい(永住)」とした世帯の比率は、23年の24%から年々高まり、今回は63%に達した。

 一方、「経済面で困っていることは」との質問に、「安定収入」と回答した人が45%おり、これまでで最高となった。

 結ぶ会の藤原行雄事務局長は「帰郷を迷っていた世帯も、コンパクトな範囲に公共施設、病院、商業施設が集まっている山梨で生活しやすさを感じ、永住希望が増えた」と分析する。

 家賃補助など公的支援の終了が始まり、同氏は「非正規雇用などの世帯で、経済的な不安を強くケースが増えてきた」と懸念を強めている。