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伊賀の美術館で孤高の水墨画家・穐月さん回顧展

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伊賀の美術館で孤高の水墨画家・穐月さん回顧展

 孤高の画家と評され、昨年4月に他界した伊賀市の水墨画家、穐月(あきづき)明さん(享年87)の回顧展「旅の記憶」が、生前に自宅の隣に建てられた美術館「青山賛頌舎(あおやまうたのいえ)」(同市別府)で開かれている。20代から晩年にかけての作品が、当時の生活ぶりを示す写真などと一緒に紹介されている。

 穐月さんは和歌山県・高野山で生まれ、京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大)で油彩を学んだ。卒業後はだれにも師事せず、ほとんど個展だけで作品を発表し続けた。

 29歳のときの作品「母の像」は、日本画的な手法が色濃い。京都・山科の二軒長屋で暮らした40代の作品「壺の椿」などには、墨の「ぼかし」や「かすれ」で立体的に表現する独自の作風が確立される様子を見ることができる。

 50代になると画風が洗練されていき、このころの「水仙・椿花」や「野の仏」などは代表作に挙げられる。60~70代は、干支の動物をユーモラスに描いた「十二支色紙」や、地蔵と子供が遊ぶ「遊戯地蔵」のほか、自宅近郊の野焼きの風景を描いた「里山の流れ」など軽妙な作品も目立つようになった。

 作品は長者番付に名を連ねるほどに売れ、穐月さんは膨大な数の書籍や古美術を収集した。回顧展では作風の変遷とともに、創作活動の糧となったとみられる収集品も展示。来場者らの目を引いている。

 同美術館館長で長男の大介さん(62)は「創作の背景を含め可能な限り画業の一覧を試みた。絵に込められた思いや美意識を見てほしい」と話している。回顧展は6月末まで。開館は土日祝日の午前10時~午後5時。近鉄青山駅から徒歩約15分。