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大井川鉄道の魅力発信「UNMANNED」 無人駅、丸ごとアート 静岡

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大井川鉄道の魅力発信「UNMANNED」 無人駅、丸ごとアート 静岡

 ■8組、滞在制作も 観光客に有料ガイド本

 大井川鉄道沿線の無人駅をまるごと利用した芸術祭が9日、開幕する。タイトルは、「無人」を意味する「UNMANNED(アンマンド) 無人駅の芸術祭/大井川」。同鉄道大井川本線の無人駅8駅の駅舎や構内、周辺の遊休地を舞台に、県内外の気鋭のアーティスト8組がその土地から得たイメージを膨らませ、作品として表現する。 

 蒸気機関車(SL)が走る路線として有名な大井川鉄道は、SL停車駅以外の大半が無人駅だ。停車する電車は1時間に1本程度というのどかさで、ベンチが置いてあるだけのホームや時刻表が張られただけの小屋のような駅舎、1日の乗降客が10人に満たない駅すらある。それでも、高齢者を中心とする地元住民の大切な足であり、地域になくてはならない存在だ。

 そんな無人駅ならではの隠れた魅力を見つけて発信しようという「UNMANNED」は、昨年に続き2回目の開催。主催者によると、昨年の期間中は無人駅の乗降客がかなり増えたという。しかし、遠方から自家用車で訪れて作品を鑑賞するだけの観光客も多く、いかに長く滞在してもらえるかが課題だった。

 そのため、今年は芸術作品を楽しむだけでなく、茶畑が続く駅周辺を散策したり、地元住民が集う店でお茶を飲んだり、温泉に入ったりしてもらえるよう、有料のガイドブックを発行することにした。

 さらに、制作者自身が地元に入り込んで作品をつくる“滞在制作”の試みも行った。「まち」をフィールドとするアーティスト、木村健世さんは、2月中旬から沿線に長期滞在中。福用駅(島田市)を拠点に、集落で長年暮らす高齢者へのインタビューを重ね、地元の歴史や言い伝えを文庫本化した「無人駅文庫」を制作している。無人駅のホームに本棚を設け、訪れた人たちが自由に“鑑賞”できる作品にするという。

 無人駅の魅力を「人がいないからこそ見えてくるものがある」と表現した木村さん。田舎町の無人駅が持つ独特の空気感に創作意欲を強く刺激されているようだった。

 「UNMANNED」は25日まで。問い合わせはクロスメディアしまだ(電)0547・35・0018。(田中万紀)