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【ZOOM東北】福島発 福島市「ごみ排出全国最多」の怪

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【ZOOM東北】
福島発 福島市「ごみ排出全国最多」の怪

 ■処分場逼迫など影響懸念

 福島市の1人当たりごみ排出量が人口10万人以上の都市で全国最多を記録した(平成27年度)。1日1329グラムという数字は、最少の自治体の2倍以上。原因について、震災に伴う居住者の増加などが挙げられるが、市は「根本的な原因は分からない」とする。ごみの増加が続けば、焼却炉の機能低下や処分場の逼迫(ひっぱく)による市民への影響も懸念される。(内田優作)

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 環境省の「一般廃棄物処理実態調査」によると、福島市の排出量は最少だった東京都小金井市の626グラムの2倍以上。さらに、ワースト2位だった宮崎県都城市の1294グラムより、1日35グラム、1年で約12キロ多い。1329グラムは1年で約485キロ、45リットルのごみ袋で86袋分になり、5日で1袋のごみが出る計算だ。

 同市清掃管理課によると、震災前の22年度までは減少傾向にあったが、震災以降急増、27年度までで、300グラム以上の増え幅を示した。ごみの中でも、事業系ごみは横ばい傾向で、例年家庭系ごみの分量が全体の7、8割を占めており、その対策が課題になる。

 市は増加の原因について、「震災に伴うごみの発生」を挙げた。しかし、震災から7年が経過し、「これだけが原因とは考えづらい」とみている。

 震災に伴う避難者の居住で、実際の住民数とごみ排出の実勢が合わずに実態に反する数値が出ることも考えられる。しかし、市が住民基本台帳を元に避難者や除染などの作業員の要素を加味して計算しても、さほど排出量は変わらなかったという。26年度の数値に照らせば、267位(最下位)から254位に上がる程度だった。震災前後で、ごみの算定基準も変わっていない。

 市は「複合的な要因で起きている」と推測はするが、「根本的な原因がつかめない」というのが実際のところだ。

 深刻なごみ増加を受け、市は啓発運動に取り組む。昨年には各地区で説明会を開いてごみ減量を促した。

 また、市の廃棄物減量等推進審議会ではごみ処理有料化が議論され、今年中には結論が出る見通しだ。ただ、有料化をめぐる議論が行われている一方で、原因への言及は少ない。

 ごみ問題の専門家で、審議会の会長も務める福島大の樋口良之教授は排出量増加の背景について、「震災によって市民のごみに対する意識が変わってしまった」と指摘する。樋口教授によると、震災前まではレジ袋有料化推進など、市や消費者団体の啓発活動によってごみの減量化が進み、年々排出量が減少していたが、震災後の混乱で意識が薄れてしまったという。

 また、景気と排出量にも関係があるという。景気が良い時期にはごみの排出量が増え、不景気の場合には減る。近年の排出量増加は、復興特需とも関わりがあると説明する。

 樋口教授はごみに関する意識を高めるため、「毎年、新しい政策を打ち出すべき」と訴える。1つの政策を続ける中で住民が慣れてしまい、減量意識が薄れることがあるためだ。

 ごみの増加はやっかいな問題を引き起こす。

 市は焼却炉の耐用年数が短くなることを懸念する。焼却炉に明確な耐用年数はなく、建て替えは状態によって決まるが、大量のごみが出れば、当然消耗は早まる。また、市は33年度の利用開始を目指して最終処分場の建設を進めるが、「1回建てれば15年は大丈夫なはずだったが、このペースでは、あっという間になってしまう」(担当者)という。

 「ごみには人の心が現れる」(樋口教授)。問題解決には市民の意識改革が求められそうだ。