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松阪の学芸員・山本さん、松浦武四郎の情報発信 「知るほど足跡大きい」

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松阪の学芸員・山本さん、松浦武四郎の情報発信 「知るほど足跡大きい」

 幕末にアイヌ民族と協力して蝦夷地を踏破し「北海道の名付け親」と呼ばれる探検家、松浦武四郎(1818~88年)。今年は生誕200年を記念するさまざまなイベントが計画されている。彼が生まれた松阪市の記念館の学芸員、山本命さん(41)は膨大な探検記録の調査と、アイヌを守ろうとした熱い思いの発信に取り組んでいる。

 平成6年にオープンした記念館の2代目学芸員。大阪府生まれで小さい時から歴史に興味があり、大学と大学院で学んだが、武四郎になじみはなかった。「たまたま試験があって」就職し、「知れば知るほど足跡の大きさを感じる。アイヌとの心温まる交流がすごく光る」と研究にのめり込む。

 武四郎の著書やユーモラスな絵の分かりやすい展示に人気が高まり、地元の小学校でも授業の題材に。「多文化共生という言葉がよく使われるが、今なお大きな人権課題に当時、たった1人で取り組んだ功績は大きい」と訴える。

 北海道は今年、命名から150年目。アイヌの古老が語った“この国に生まれた者”という言葉の意味を込め、武四郎が提案した「北加伊道」が基とされる。アイヌの窮状を無視する政府に辞表をたたきつけ、全国を旅した「明治の武四郎」にも光を当てたいと語る。

 200年と150年の節目が重なり、北海道、三重県での特別展の準備や講演で大忙しの日々。「武四郎の記録は、アイヌの記憶遺産として大きな価値がある。資料を調べる時間が取れず、もどかしいが、多くの人に見てほしい」と奔走する。