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大林監督、戦争なき世界訴え 尾道映画祭でスピーチ「映画は歴史の未来変える」

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大林監督、戦争なき世界訴え 尾道映画祭でスピーチ「映画は歴史の未来変える」

 尾道市出身の映画監督、大林宣彦さん(80)の作品を特集した「第2回尾道映画祭2018」が23日夜、同市のしまなみ交流館で開幕した。映画祭に参加して記者会見した大林監督は、原爆をテーマにした次回作の構想を明らかにし「過去の体験を伝えることが未来の戦争をなくし、平和に近づけていくことに役立つ」と意欲を語った。

 「転校生」「時をかける少女」など尾道3部作で知られ、近年は戦争と平和をテーマにした作品を発表している大林監督。記者会見で戦争の記憶を表現する責務を語ると、「原爆の巨大な威力は知っているが、本当の恐ろしさやむごたらしさをほとんどの人が知らないまま日本は敗戦を迎えてしまった」とし、「なぜ原爆投下に至る道筋を人間がたどったのかを描くことが私の仕事だ。やり残したことは原爆に向き合うことしかない」と述べた。

 「映画は歴史を変えられないが、歴史の未来を変える力がある」とも語り、「映画によって戦争のない平和な世界ができると信じて作り続ける」と力を込めた。

 映画祭初日は、肺がんで一時余命宣告を受けながら撮った、太平洋戦争直前の若者たちの青春を描いた最新作「花筐(はながたみ)/HANAGATAMI」が上映された。同作品は「この空の花」、「野のなななのか」に続く「戦争3部作」の集大成とされ、最終日の25日にも上映される。

 大林監督は開会式につえをつきながら登場。満席の場内を見渡すと、「尾道のみなさんただいま」とスピーチを始め、大きな拍手で迎えられた。「花筐」の上映後、大林監督のほか、窪塚俊介さんや満島真之介さん、常盤貴子さんら出演者によるトークセッションがあり、大林さんの母校・尾道市立土堂小学校の児童たちが花束を贈った。

 大林監督は「戦争がすぐそこに近づいていると、みんなが肌で感じる時代になってしまった。映画は学校。子供たちに見てもらい、自分たちの未来を考えるきっかけにしてほしい」と話した。