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「地域の足守る」 住民の思い受け河内長野の乗り合いタクシー「くすまる」快走

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「地域の足守る」 住民の思い受け河内長野の乗り合いタクシー「くすまる」快走

 路線バスなど地域の公共交通が廃止、縮小される中、平成23年11月に正式運行を始めた大阪府河内長野市の楠ヶ丘地区の乗り合いタクシー「くすまる」が好調だ。利用率アップに向けて地道な活動を続けてきた成果で、運営に関わってきた地域住民らは「くすまるを大事な地域の足として残したい」と力を込める。

 大阪のベッドタウンとして発展してきた河内長野市にあって、「くすまる」の走る楠ヶ丘地区は昭和40年代に開発された新興住宅地。南海高野線三日市町(みっかいちちょう)駅(同市三日市町)近くにあり、平成29年3月末現在で約2400人が暮らす。高齢化率が3割を超える一方で、地区は勾配があり、道幅が狭いなどの理由で、路線バスもなかった。

 そうした中、23年11月から運行がはじまったのが「くすまる」だった。路線は三日市町駅前を出発して地域を巡回し、約20分で同駅へ戻るコース。中学生以上は200円で小学生は100円、幼稚園以下は無料。おおむね30分に1本のペースで午前8時半から午後6時半まで18便運行している。

 地域住民らでつくる「楠ヶ丘公共交通対策委員会」が運営し、高齢者に無料乗車券を配るなど、定着に向け地道な活動を重ねた結果、運行開始後の24年度には2万7210人だった利用者が、28年度には3万1390人に。29年度も1月末の段階で2万5831人が利用している。

 他地域のコミュニティーバスと比較した際に目を引くのが、運行にかかる経費のうち運賃収入の占める割合「収支率」の高さだ。高ければ高いほど、利用者が多いことを示すが、23年度の運行開始から60%を超え、28年度には76・1%にのぼった。

 委員会メンバーでもある近畿大学経済学部の新井圭太准教授(交通経済学)は「収支率が5割を超えるケースは非常にまれ。中には『2割』を目標にしている自治体もあるほど」と解説。「この地域には公共交通がなかっただけに、『地域の足を守る』という住民の熱意が強い」と分析する。

 委員長の金山元治さん(77)は「地域の皆さんも『今は若いし、移動はマイカーで大丈夫』と思っていても、いずれは年を取る。地域の大事な足として『くすまる』を残すため努力を重ねたい」と話した。