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銚子電鉄「デハ801」、修復終え輝き取り戻す 高校生の熱意&専門家の技術

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銚子電鉄「デハ801」、修復終え輝き取り戻す 高校生の熱意&専門家の技術

 銚子電鉄(銚子市)の老朽化した車両「デハ801」の修復が終わり、外川駅構内で無料公開されている。県立銚子商業高校の生徒が取り組む地域活性化プロジェクトの一環として、県内の塗装工事会社などの全面協力により新車同様の外観になった。車両は線路を走ることはできないが、銚電の竹本勝紀社長は「生まれ変わったデハ801を見に来てほしい」と、新たな観光スポットの誕生に期待を込める。

 デハ801は昭和25年製で、同60年に伊予鉄道(松山市)から譲り受け、銚電の主力車両として平成22年まで活躍。引退後は架線点検車となり、27年からは展示施設として外川駅に保管された。ただ、潮風の影響で外装が腐食して穴が開くなど、老朽化が著しく進行していた。

 そこで、これまで駅の修繕活動などに参加してきた銚子商業の生徒らが名乗りを上げた。プロジェクトのリーダーで商業科3年の堀美澪さん(18)は「先輩から801を直したいという声を何度か聞いていて、私たちもどうにかしたかった。でも、資金面で悩んでいた」と話す。

 見積もりでは1千万円以上かかることが分かり、技術的な問題もあって一度は諦めたという。そんな中、生徒たちの熱意に感銘を受けた専門業者が動いた。特殊塗料の開発・製造を手がける「BAN-ZI(バンジ)」(千葉市花見川区)と、さび処理や塗装工事を行う「REPROUD(リプラウド)」(同若葉区)の2社が無償での協力を申し出て、修復が実現することになった。

 工事は昨年10月から始まり、船体用の素材に使われるFRP(繊維強化プラスチック)や特殊塗料などを使うことで、今後は腐食することがない状態に仕上げた。当初は11月に完了する予定だったが、予想以上の老朽化に手間取り、「徹底的に直したい」という協力会社の意向もあって12月下旬までずれ込んだ。

 塗料などの材料を提供したBAN-ZIの宮原万治社長は「非常に困難な仕事だったが、高校生や地域の人に勇気づけられ、絶対に諦めないという精神でこの日を迎えることができた」と話した。

 高校生たちもやすりがけやペンキ塗りを手伝った。堀さんは「ボコボコだった電車が無事に直るのか心配したが、こんなにきれいになって驚いている」と完成を喜んだ。銚電の竹本社長は「新車のごとく輝きを取り戻したデハ801の雄姿を見て社員一同、心から感謝している。厳しい経営状況が続いているが、地域とともに生きるローカル鉄道としてこれからも事業存続に力を尽くしたい」と話している。

 デハ801は無料で車内を見学できる。開放時間の問い合わせは銚子電鉄(電)0479・22・0316。(城之内和義)