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三重大院教授ら新説 シベリアの水蒸気が流れ込む「大気河川」が北極温暖化の要因

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三重大院教授ら新説 シベリアの水蒸気が流れ込む「大気河川」が北極温暖化の要因

 ■日本の寒波・豪雪にも影響

 三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕教授らのチームは、北極圏で急速に進む温暖化について、シベリアから北極に向かう湿った大気の流れが要因だとする新説を打ち出した。その影響で気圧配置が変わり日本では逆に冬の寒波が強まるという。22日、同大で記者会見した立花教授は「北極の温暖化は離れた場所にも影響を与える地球規模の問題だ」と指摘した。

 三重大、米アラスカ大、露モスクワ大の共同研究の成果で、学術雑誌「サイエンティフィックリポート」(電子版)に今月13日、掲載された。

 新説によると、北極圏の大気が温暖化するメカニズムはこうだ。

 シベリア上空の水蒸気が川のように北極に流れ込む。研究チームはこれを「大気河川」と名付けた。大気河川は、海氷上の冷たい大気の上に乗ってグライダーのように急上昇し、上空で雲が発生。気体である水蒸気が水(雲)に変わるときに発する凝結熱が大気を暖める。北極海の海氷が減少したことで、大気河川はより北極近くで上昇するようになった。これにより北極上空の気圧は高まり、周辺に強い寒気が吹き出しやすくなる。北緯30~60度を流れる偏西風は北極上空の高気圧に押されて蛇行し、日本列島上空を通るようになり寒波をもたらしたという。

 研究チームは、ロシア領の北極海で最高上空20キロまで観測気球を打ち上げて気温、湿度などのデータを収集、分析した。

 北極圏では、地球上の他の地域に比べて2倍のペースで気温が上昇しているとされる。そのメカニズムについて定まった説はまだない。立花教授は「海氷、大気、陸上と別々に行われていた研究を包括することで温暖化のメカニズムが見えてきた」と話した。