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「神様がこの地におわす意味思う」春日大社創建1250年で花山院弘匡宮司に聞く

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「神様がこの地におわす意味思う」春日大社創建1250年で花山院弘匡宮司に聞く

 春日大社(奈良市)は今年、奈良時代の神護景雲2(768)年に現在地に本殿が創建されてから1250年を迎える。朝廷から庶民まで広く信仰されるようになった春日大社は、平城京の東に当たる御蓋山(みかさやま)中腹に建てられたことに大きな意味がある。9月には奉祝行事も予定される中、花山院弘匡(かさんのいんひろただ)宮司(55)に創建の節目に対する思いを聞いた。(聞き手 岩口利一)

 --本殿創建からは1250年ですが、和銅3(710)年の平城京遷都間もなくから歴史があります

 「遷都されて7年後、御蓋山麓で遣唐使の安全祈願が行われた記述が『続日本紀』にある。そこは都から見て太陽、月が現れ、水源地でもある古来の神の聖地だった。このように本殿ができる以前からこのすがすがしい地には平城京を守護する神様としての力があった。さらに藤原氏の信仰が高まり、お祭りを厳粛にする中で都に似つかわしい本殿が創建されました」

 --1250年を迎えるご心境は

 「1250年間、春日では国家国民の平和、幸せ、繁栄を祈り、ご加護いただいてきた。都が京都に移ってからも、天皇・上皇のご参拝、貴族らの春日詣が盛んに行われた。国家鎮護の神様がこの地におわすのには深い意味があり、春日という場所に力があることを改めて思う。神様の力が連綿と続いてきたことを考えると素晴らしく、今回はこれからも千年、2千年と、祈りながらご加護いただく一つの通過点です」

 --1250年の神事はどのような予定ですか

 「9月21日の夕方から臨時のお祭りを行い、ご縁のある方々に参列いただく。この日の前後には奉祝の万燈籠や特別参拝などを行い、できるだけ多くの一般の人たちに1250年を寿(ことほ)いでもらいたいです」

 --他にも関連行事があるのでしょうか

 「9月中旬には第3回春日野音楽祭があり、奉祝の音楽奉納となる。春日は(春日若宮おん祭などを通じ)日本の芸能史を刻んできた神社であることから、現代の音楽を通じても多くの人に集まってもらいたいです」

 --春日野音楽祭は定着しつつありますね

 「例年の采女(うねめ)祭(今年は9月24日)も、今年は1250年を寿ぐ祭りに位置づける。さらに、10月7~11日には興福寺中金堂の落慶法要が営まれる。春日社は藤原氏の氏神、興福寺は氏寺として歩み、大変関係が深い。今回、根本的なお堂が再建され、春日としてもめでたいことです」

 --春日大社にとっての今後の課題、さらに発信したいことは

 「1250年を機に、春日の信仰をより身近に感じてもらうことも考えている。また、海外の方も多く訪れ、シカがいる境内の杜を歩き、社殿にお参りいただくことで神道の精神性に触れてもらっている。春日にみられるような人間と原生林、動物の共生こそが、地球上で人類が生きていく指針の一つであり、平和に寄与することだと思います」