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山口県当初予算案 人口減少社会の新国家像を

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山口県当初予算案 人口減少社会の新国家像を

 山口県の村岡嗣政知事の2期目は、逆風下でのスタートとなった。平成30年度当初予算案が5年度並みの緊縮型になった理由は、深刻な財政難だ。限りある予算を明治維新150年事業など県の振興策に振り向けた半面、人口減少社会を見据えた取り組みには、踏み込み不足が目立った。(大森貴弘)

 村岡氏は予算編成にあたって、交流人口の拡大▽産業振興▽生活基盤の安定-の3つを柱にした。

 維新150年を起爆剤に、クルーズ船や、山口宇部空港への国際定期便の誘致などに取り組む。産業振興策でも、宇宙産業育成の後押しに加え、中小企業や新規就農者への融資や補助制度などを設けた。

 子育てや介護・医療分野にも目配りし、新規事業は78件、総額42億7千万円に上る。

 村岡氏の県政運営には、財源不足が重くのしかかる。

 県が公表した試算によると、高齢化に伴う社会保障費の増加などで、29~33年度に計1292億円の財源不足が見込まれる。

 30年度は263億円の財源不足が見込まれた。人件費の縮減(40億円)や事業の見直し(12億円)などを進めた上で、基金を30億円取り崩して対応する。

 「県外でのPR活動で類似施策を統合するなど、事業の見直しを進めた。財政健全化に向けた見通しがたった」(三好健太郎財政課長)という。県は収支均衡を目指して、5カ年の歳出削減策に取り組む。

 ●市町へ丸投げ?

 ただ、公共施設見直しの具体策には踏み込まなかった。

 県有の公共施設は、公園や住宅、スポーツ文化施設など幅広い。国土交通省の試算によると、全国の公共施設の43%が築35年以上経過するなど老朽化しており、将来をみれば、施設更新に現在の2・6倍の費用が必要になるという。

 閉鎖や統合は避けては通れないが、住民の反発が予想される。現状の説明を積み重ね、理解を得る必要がある。県人事課の担当者は「(見直しは)一筋縄でいかない。施設ごとに方針を決めないといけないが、時期は見通せない」という。

 県は今回、公共施設見直しの基本方針を策定したが、そこには「市町への移管」の文言がちりばめられた。「移管」が、市町への責任丸投げを意味してはならない。

 住民に痛みを強いる政策の実現には、政治決断が欠かせない。知事選で圧倒的な勝利を収めたばかりの村岡氏にしか、取り組めないといえる。

 150年前、長州藩は新たな国づくりに取り組んだ。人口減少社会における新たな国家像を山口県から発信する-。そんな気概があってもよい。