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【上州この人】アクアシステム社長・狩野清史さん 「菌の見える化」で食品衛生を向上

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【上州この人】
アクアシステム社長・狩野清史さん 「菌の見える化」で食品衛生を向上

 世界で毎年40万人超の命を奪うとされる食中毒は、人間にとって大きな脅威だ。昨年は群馬、埼玉の両県で腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が相次いだが、肉眼では見えない菌をスマートフォンで確認できる小型顕微鏡「ミルキン(見る菌)」が注目を集めている。開発・販売する前橋市の電解水総合設備会社、アクアシステム社長の狩野清史さん(47)は、「菌の見える化」で食品工場や飲食店などの衛生管理を強化させたい考えだ。 (宇野貴文)

 --ミルキンはどんな製品

 「顕微鏡本体に、スマホを置く台を付けて使用する。高さ約15センチ、幅約18センチ、奥行き約11センチ、重さ約450グラムと小型で、単3形アルカリ乾電池2本が電源だ。価格は税別9万9800円。倍率は1千倍で、1ミクロン以上の菌を見ることができる」

 --具体的な使い方は

 「野菜カット工場のまな板などを綿棒でこすり、水を垂らして試料とする。スマホのカメラ機能で菌を映し出す仕組みで、どこがどれだけ汚れているかが一目瞭然だ。光学顕微鏡は持ち運びが不便で、異物混入が厳禁の食品工場では試料を載せるスライドガラスが持ち込めないなどのデメリットがあるが、そうした課題もクリアできる」

 --開発、発売の経緯は

 「自社の電解水製造装置の殺菌力の強さを専門用語や数値などを使って説明しても、顧客にはわかりにくい。それを一目で示す営業ツールとして開発したところ、高い評価を得た。昨年6月に発売し、大手食品メーカーなどにも納入している」

 --販売目標は

 「国内で年間1万台を目指す。主な顧客層は食品業界だが、教育分野でも、微生物について学ぶ大学の研究室で活用してもらったり、小学生向けの科学関連のイベントに無償提供したりしている」

 --殺菌用電解水のメリットは

 「薬品や熱を使わず、環境や人体にも優しい。当社は、もともとはアルカリイオン水を仕入れて売る『BtoC』(消費者向けビジネス)の業態だったが、1990年代から普及した殺菌用電解水を扱うようになって『BtoB』(企業向けビジネス)に転換した」

 --飲食店や家庭などで食中毒の問題は尽きない

 「WHO(世界保健機関)によると、食中毒による死者は毎年世界で約42万人に上る。これを減らしたい。そのためには、視覚に訴える『ショック』も必要だ。菌の『見える化』は、ASEAN(東南アジア諸国連合)などの食品衛生の啓発にも役立つと思う」

                   ◇

【プロフィル】かのう・きよふみ

 昭和45年9月、前橋市生まれ。産業能率短大卒。平成2年、父の順一さんが社長を務めた日本インテック通商(現アクアシステム)入社。23年から現職。昨年、アクアシステムは国内最大級の中小企業総合見本市「新価値創造展」で、ミルキンは県内の優れたデザインの商品を選ぶ「グッドデザインぐんま」で最高賞を受賞した。