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香川菊池寛賞に藤田さん「家族の季節」 多くの女性が共感 

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香川菊池寛賞に藤田さん「家族の季節」 多くの女性が共感 

 ■奨励賞は雅さん「しゅどうと宮里」

 高松市出身の文豪、菊池寛を顕彰し、香川ゆかりの作者による優れた文学作品に贈られる「第53回香川菊池寛賞」(高松市など主催)の受賞者が決まった。香川菊池寛賞には香川県三豊市豊中町の塾講師、藤田享美さん(61)の小説「家族の季節」、奨励賞には善通寺市上吉田町の四国学院大学2年、雅天我さん(20)=本名・宮地天雅=の小説「しゅどうと宮里」が選ばれた。

 今回は県内外から53編の応募があり、高松市出身の芥川賞作家、高城修三氏をはじめ8人の選考委員が審査した。

 藤田さんの作品は、中学生の娘の不登校に直面する母親が主人公。心療内科医と会話を重ねる中で、自分と娘との齟齬(そご)には、自分が母親から受けた抑圧による心のきしみがあったことに気づき、夫に対しても新たな気持ちがわき上がるという、家族再生の物語。

 選考委員会によると「母として妻としての心理が変化していく様が見事に描き出されている」「現代社会のどこにでもありうる問題に多くの女性が共感できる」と評価された。

 雅さんの作品は、口唇口蓋裂と発音がしにくい構音障害などがありながらもはつらつと生きる男子高校生と、彼の人間性にひかれる友人の曇りのない感性や心情をさわやかに描いた青春ストーリー。「読み手に心地よく響くテンポの良い文体」「若い書き手がさらに表現を磨き、書き続けることを期待する」として奨励賞に選ばれた。

 8回目の応募での受賞となった藤田さんは「いろんな面で子育てがしにくい時代になっているが、子供のつまずきによって何かを失っても、それ以上のものを得ることがある、ということを感じてもらえたら」と語った。

 自身も構音障害のある雅さんは初の応募での受賞。「これまで関わってくれた人たちへの恩返しの気持ちを込めて書いた。この病気について理解してもらえたらうれしい」と話した。

 贈呈式は28日に高松市役所で行われる。