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JR九州、ダイヤ改正詳細を発表 鉄道事業効率化へ117本削減の方針堅持

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JR九州、ダイヤ改正詳細を発表 鉄道事業効率化へ117本削減の方針堅持

ダイヤ改正について説明するJR九州の古宮洋二鉄道事業本部長 ダイヤ改正について説明するJR九州の古宮洋二鉄道事業本部長

 JR九州は16日、今春3月17日に改正するダイヤの詳細を発表した。昨年12月に提示した計画通り、1日当たり計117本を削減する。沿線自治体からは削減見直しを求める意見が出ていた。それでもJR九州は、人口減少社会を見据え、鉄道事業の効率化が不可欠と判断し、削減本数を維持した。(高瀬真由子)

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 福岡市のJR九州本社で記者会見した古宮洋二鉄道事業本部長は「自治体や住民からご意見をいただいたが、全ての要望に応えるダイヤは難しい。利用実態を総合的に考え、現時点では見直しに至らなかった」と語った。

 吉都線では計画していた最終列車の削減が、定時制高校生の帰宅に影響することが判明。最終列車を廃止した上で、平日の同じ時間帯に臨時便を運行する。

 発表によると、今回のダイヤ改正で、在来線の快速・普通列車が1日当たり87本減の計2615本、特急が24本減の計277本、九州新幹線が6本減の119本になる。

 JR九州が削減方針を堅持したのは、鉄道事業への危機感の表れといえる。

 記者会見でJR九州は、会社発足時の昭和62年度と、平成29年度の列車本数と輸送人員の推移を示した。本数は1・8倍になったが、輸送人員は比例して伸びていない。東九州道など高速道路の開通が理由という。

 古宮氏は「輸送力と現状の乖離(かいり)を適正にすることが会社の使命。効率的な鉄道の運用をしたい。ご不便をおかけするが、前後の列車間隔を調整し、利便性を損なわないよう努めた」と強調した。

 同社の鉄道事業は事実上赤字が続く。平成29年3月期決算でも会計処理に伴う費用軽減などを除けば87億円の赤字だった。

 JR九州はダイヤ改正によって、燃料など動力費だけで数億円の収支改善を見込む。

 青柳俊彦社長は16日、「取り巻く環境は今後も厳しい状況が続く。時刻の修正や列車の増便などは、柔軟に実施する」とのコメントを発表した。

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 ■両者の温度差

 JR九州に限らず、多くの公共交通機関は、不採算路線という課題に直面する。縮小や廃止に際して、事業者と自治体が対立するケースも多い。

 九州のあるバス事業者は「路線廃止の際、自治体から大きな不満が出たが、採算を考えれば一つ一つの要望を聞くことは難しかった」と語った。別の関係者は「公共交通機関だから走らせて当たり前。そんな自治体の意識を感じた」とする。

 事業者と自治体。両者の温度差が軋(あつ)轢(れき)を生む。JR九州の青柳氏が1月の記者会見で「修正が可能なものについては対応したい」と発言し、自治体の期待が高まった。それだけに、より一層の不信感を抱く自治体も出るだろう。

 だが、輸送手段の適正化を進めなければ、将来的に鉄道の廃線も現実味を帯びる。本格的な人口減少時代の地域づくりには、自治体と事業者双方の協力が欠かせない。