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【トップセールス3度目のタイ】(3)水産物輸出 安定供給と品質維持が不可欠

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【トップセールス3度目のタイ】
(3)水産物輸出 安定供給と品質維持が不可欠

 「顔を合わせれば、心は伝わるんだよ」。6日夜、タイの行政機関や農水産物のバイヤーらを招き、バンコク中心部のホテルで開かれたレセプション。県水産加工業協同組合連合会の細田一男代表理事会長の表情は緩んでいた。

 細田会長も一員の県内水産加工業者による使節団はこの日、森田健作知事らトップセールスの一行と合流してツナ缶世界最大手、タイユニオングループを訪問。チェン・ニルティナノン会長らとの面会を果たしていた。

 タイ国内のほか日欧米でブランド缶詰の製造・販売を展開し、2016年3月期の売上高は1343億バーツ(約4606億円)を誇る世界的な水産加工会社。その最高幹部だけに、なかなか会うことができないとされる。そんなチェン会長から「取引拡大の方向で考えている」との言葉を引き出していた。

 面会時は緊張でこわばっていた細田会長だが、レセプションでは安堵(あんど)感がにじんでいた。「水産関係だけじゃない。日本とタイの交流の厚みを感じた。非常に有意義だった」と、しみじみとグラスを傾けていた。

 ◆訪問団40人に敬意

 タイは県産水産物の最大の輸出先だ。県の調査によると、輸出額は平成28年は計約160億円。このうちタイは約36億円と、2位の香港(16億円)を大きく引き離す。金額も年々増加傾向にある。

 そのタイの最大手企業グループの最高幹部が、訪問団に対し「頑張ってチバから一番輸入することを考えている」とまで述べた。サバやイワシ、カツオ、ビンナガマグロなど、同グループが購入している県産の水産加工原料は年間1万トンを超し、取引はさらに拡大する見通しだ。

 森田知事らとのやりとりでチェン会長は「このような(大人数の)チームを編成して来られ、大変感激している」とも述べた。使節団が合流し約40人に膨れあがった訪問団に何度も敬意を表し、「チバ」側の熱意を受け止めたようだった。

 ◆行政の支援に期待

 チェン会長は、県産水産物の品質に高い信頼を強調した。裏を返せば、水産加工原料の衛生管理や保存能力などを高いレベルで維持し続け、しかも安定的に供給できる態勢を持続することが求められる。

 サバやイワシなど計約28万トンと、銚子漁港が生産量全国1位であるのは、多くの漁船が水揚げした結果だ。他県の漁港では、貯蔵施設が脆弱(ぜいじゃく)なため乗り付けた船が「水揚げ待ち」を余儀なくされるケースもあるといい、今後も銚子が「選ばれる漁港」であり続ける必要がある。

 銚子漁港には来月、新しい製氷貯氷施設が完成する。32年には県漁業協同組合連合会の水産加工施設が新たに稼働する予定だ。県漁連の坂本雅信代表理事会長は「漁港の整備から流通までインフラが整っていることが重要。しっかりと整備していくことが課題」と指摘。その上で「国や県の支援がなければできない」と、他県の漁港との競争を勝ち抜くためにも行政の支援に期待する。

 水産資源をめぐっては、国際的な資源管理という大きな問題もある。その枠組みの中で、安定供給と高品質というテーマにいかに磨きを掛けていくか。官民が連携して取り組むことが、「最大のお客さま」タイユニオングループからの信頼に応えることにつながる。