産経ニュース

埼玉県当初予算案 2年ぶりプラス編成 一般会計1兆8657億6000万円

地方 地方

記事詳細

更新


埼玉県当初予算案 2年ぶりプラス編成 一般会計1兆8657億6000万円

 ■AI活用に重点

 県は13日、1兆8657億6千万円となる平成30年度一般会計当初予算案を発表した。前年度比13億3300万円増(0・1%増)で、2年ぶりにプラスに転じ、過去3番目の規模となった。人口減少や少子高齢化に対応するため「未来への投資」として、人工知能(AI)などの新技術で生産性を向上させる施策に重点を置いた。予算案は20日開会の県議会2月定例会に提出する。(黄金崎元、川上響)

                   ◇

 歳入の約4割を占める県税収入は、前年度比3億円減の7590億円を計上した。景気回復で法人2税(事業税、県民税)の増収を想定するが、さいたま市に教職員の給与負担を税源移譲した影響で個人県民税の減収を見込んだため。地方交付税は同4・6%減の1957億円、国庫支出金も同6・2%減の1497億円。

 「借金」に当たる県債発行額は同3・9%減の2357億円で2年ぶりに減少した。県債発行額のうち、臨時財政対策債は同2・2%減の1313億円。県債依存度は前年度の13・2%から12・6%に下がった。臨財債を含む県債残高は平成30年度末で3兆8395億円となる見通し。県民1人当たりの県債残高は52万3千円となる。

 歳出の約3割を占める給与費は退職手当の引き下げなどで同0・5%減の5808億円となった。扶助費・公債費など義務費は社会保障費の増加で同3・3%増の3885億円とした。投資的経費は県農大跡地の整備費の増加で同0・9%増の1577億円。公共事業費は899億円と前年度より2・9%増えた。

                   ◇

 ◆生産性向上 

 平成30年度一般会計当初予算案の「スマート社会へのシフト」(10億2千万円)では、AIやIoTなど新技術を活用した企業の生産性向上、県のサービス向上や県職員の負担軽減に重点が置かれている。

 「AI活用による産業の高度化支援の取り組み」に1億1500万円を投入。AIを活用した工場内故障診断システム開発などを支援し、若手技術者を育成する。中小企業のAI活用も支援する。県庁の業務の自動化にも新技術を活用。全国初の取り組みとなるAIを活用した救急相談の実施。定型業務をRPA(ロボットによる業務自動化)で代用したり、議事録作成支援システムを導入したりする。同システムでは1時間の会議で6時間かかっていた作業を3時間に短縮できる。

 「スマート社会へのシフト」の中で最大となったのは、県警本部の高度分析システム整備(4億4700万円)。組織内のデータを一元化し捜査や防犯に役立てる。警察官100人当たりの負担率が3年連続1位となっている県警の捜査員らの負担軽減につなげ、人的な捜査能力を強化する。

                   ◇

 ◆少子高齢化 

 「チャンスあふれる埼玉」(170億8400万円)では、私立学校の教育費負担軽減のための助成に125億2700万円を配分。県内私立高校生と大学生を3人以上抱える世帯への授業料補助を年収約720万円未満世帯まで拡大するなど多子世帯への支援に力点を置く。

 少子化対策では、若い世代への不妊対策「ウェルカムベイビープロジェクト」の推進(1億7500万円)で、新たに不育症に係る検査費用の助成を盛り込んだ。また、AIを活用したマッチングなど未婚者への出会い支援、希望時期入園制度の導入などを行う。

 働けるシニアへチャンスを創出する取り組みにも力を入れる。定年制の廃止や70歳以上に定年を引き上げる企業への支援を行うなどする。

                   ◇

 ◆五輪・ラグビーW杯 

 2020年東京五輪・パラリンピックや2019年ラグビーワールドカップ(W杯)に向け、会場の整備や普及啓発に力を入れる。ラグビーW杯の会場となる熊谷スポーツ文化公園ラグビー場の改修や会場整備費として33億9900万円を計上する。埼玉スタジアム2002にWi-Fiを整備。3年間で県営公園全体のトイレの洋式化率を56%から約90%に引き上げる計画を立てている。

 大会に向けてそれぞれ2年前、1年前イベントなどで機運を盛り上げる。

                   ◇

 ◆経済活力 

 経済活力の向上として、NEXT商店街プロジェクトの推進(7900万円)を実施。外部人材を中心に構成する「チーム寄添者(よそもの)」が対象の商店街の課題に一緒に取り組み、持続可能な商店街運営を目指す。

 埼玉農業の競争力強化(3千万円)として、狭山茶の輸出支援を実施し、パリで開催される「ジャポニズム2018」への出展と現地での商談会を実施する。ロボットや新エネルギーなどの先端産業創造プロジェクトの推進には13億4700万円を計上する。

                   ◇

 ◆知事「未来への投資意識」

 上田清司知事は13日の定例会見で平成30年度一般会計当初予算案について「未来への投資を意識した」と説明。「スマート社会へのシフト」「チャンスあふれる埼玉」「魅力発信 埼玉」を3本柱として掲げた。

 その中でも特に重点を置いたのがスマート社会へのシフトだ。人口減少や少子高齢化が進むとみられ、生産性の向上が不可欠となっている。そこでAIやモノのインターネット(IoT)など新技術を活用した施策を目玉とし、関連予算計14億円を計上した。

 このほかの重点施策として、貧困の連鎖解消を挙げた。小中高校生の学習支援やシングルマザーの支援に予算を重点的に配分した。上田知事は「埼玉はどんな人でもチャンスは同じという形にしたい」と語った。

 少子高齢化による社会保障費の増大が歳出を圧迫する中、未来への投資でどれだけ花が咲き、成長を牽引(けんいん)していけるかが、県財政運用の大きな課題となる。

                   ◇

 ◆2月補正73億3979万円

 県は13日、平成29年度2月補正予算案を発表した。一般会計を73億3979万円増額し、補正後の総額は1兆8772億8597万円となる。20日に開会する県議会2月定例会に提出する。

 内訳は国の補正予算に対応し、防災・減災対策など公共事業が中心で、水害対策などの河川事業に46億4100万円、土砂崩れを防ぐ山間部の法面工事など道路事業に20億6500万円を充てる。