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【想う 7年目の被災地】2月 石巻・藤間千尋さん 「地域をよく知って」

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【想う 7年目の被災地】
2月 石巻・藤間千尋さん 「地域をよく知って」

 ■災害の備えの大切さ伝える

 東日本大震災を機に横浜市から被災地の石巻市に移り住んだ。

 「震災2カ月後の連休に災害ボランティアとして石巻市に来たのがきっかけでした。その年の10月に住み始め、移住生活は6年5カ月になります」

 決断を促したのは阪神大震災の時の苦い思い出だった。

 「高2の時に阪神大震災を経験しました。『何かしなくては』と思いましたが、行動に移せず、それが後ろめたさとなって心の底に澱(おり)のようにたまっていました。そんな中、東日本大震災が起き、『ここで行かないと一生後悔する』と決意しました」

 石巻市では震災伝承活動団体「みらいサポート石巻」に所属している。

 「語り部による伝承活動と被災地を案内する取り組みをしています。活動は初めは災害救援活動が中心でした。時の経過とともに被災者ニーズが変わり、活動もボランティアの受け入れ調整、仮設住宅入居者の生活支援へと移り、震災約3年後から現在の活動が主軸になりました」

 教訓の伝承は震災を経験していない人に伝える「ヨコの伝承」も、世代を超えて届ける「タテの伝承」も難しい。

 「難しいからといって『やらない』選択はありません。息の長い活動を続けるしかないと思います」

 被災地を観光資源として生かし、誘客を図るべきだとの意見も耳にする。

 「『観光』の本質的な意味は文字通り『土地を観て光で照らす』ことです。レジャーにとどまらない本質的な観光なら被災地の観光地化は賛成です」

 全国がインバウンド(訪日旅行)で沸く中、東北は出遅れた。

 「東京電力福島第1原発事故の影響です。海外では『東北は怖い』という負のイメージが定着しました。安全性に関する情報を愚直に発信し続けるしかないと思います」

 各被災地で伝承活動をする団体、個人が連携する「3・11メモリアルネットワーク」が昨年11月に発足し、事務局を担っている。

 「被災地を訪ねる人は県市町村をまたがって訪問します。各団体、個人が個別に頑張っても全体的に訪問者の満足するプログラムが提供できるかどうかは疑問です。団体、個人が協力してプログラムを共同開発したり、若い語り部の参加を促したりして活動の質を高めたいと思います」

 「伝え続けることによって助かる命がある」と信じている。

 「視察者には『ご自分の住んでいる地域をよく知ってください』と言います。活断層は走っていないか、過去に大きな災害が起きていないか、地盤が軟弱でないか。皆さんの地域で石巻と同じ災害が起きることはありません。その土地に適応した備えをしなければなりません」

 「知識を持つか持たないかは行動選択の重要なポイントになります。フェアトレードの概念を知らなければ、輸入品が安いなら喜んで買うでしょう。安い背景に途上国の児童労働の問題があることを知っていれば『安い』だけで買うのを控え、適正価格で購買するようになります。震災も『知ってたら避難した』ということが実際にありました。『知らなかったから犠牲になった』というのをなくしたいと思います」(伊藤寿行)

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【プロフィル】ふじま・ちひろ

 横浜市生まれ。20代の時、NGO「ピースボート」の活動に参加する。会社勤めを経て石巻市に移住。