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東京の居酒屋経営「ゲイト」が尾鷲で定置網漁参入へ 地元「活性化に期待」

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東京の居酒屋経営「ゲイト」が尾鷲で定置網漁参入へ 地元「活性化に期待」

 東京で居酒屋などを経営する企業が尾鷲市で定置網漁の操業を目指し、準備を進めている。過疎化や高齢化に悩む地元は外部の参入を歓迎、「地域活性化につなげてほしい」と期待の声が上がる。

 尾鷲市の神社で昨年11月に行われた漁の安全を祈願する神事。「ゲイト」(東京都)の五月女圭一社長(45)や漁協関係者ら約250人が真剣なまなざしで祝詞に聞き入った。お披露目された漁船「八咫丸」は赤や青など色とりどりの大漁旗をはためかせ、湾内を悠々と一周した。

 五月女社長は、経験豊富な地元漁師1人とIターンで愛知や山梨から三重に移住した40代の3人を乗組員として雇用。漁船と漁具などの購入に約3千万円を投じた。

 水揚げしたイワシ、アジ、サバなどは、熊野市にある自社の工場で刺し身やフライに加工し、居酒屋で提供する計画だ。

 知人のつてで平成28年7月、熊野市を訪れ、魚市場などを視察した。高齢化が進み、後継者不足から漁師の廃業が相次いでいる現状を目の当たりにした。

 実際、県内の漁業就業者は15年に約1万2千人だったが、25年には約7800人と約3割も減少。「このままでは魚を仕入れられなくなる」。漠然と抱いていた不安が現実になっていることを確信した。

 それまで三重に縁はなかったが、手続きを進め、昨年9月、準組合員として三重外湾漁協への加盟が認められた。

 地元も後押しする。漁協関係者は「企業の参入が、後継者不足の解決策になるのではないか」と歓迎。尾鷲市の加藤千速市長も「東京で尾鷲産の魚をPRできるチャンス」と捉える。

 魚を食べたことをきっかけに、交流人口の拡大や将来的な移住につなげることができるか。五月女社長は「持続可能な漁業の形を模索し、地域のためにできる限りのことをしたい」と意気込んでいる。