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名人の品格、さらなる高みへ 競技かるた3連覇達成・川崎文義さん(29)=越前市

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名人の品格、さらなる高みへ 競技かるた3連覇達成・川崎文義さん(29)=越前市

 「君がため春の野に出でて…」。古今和歌集の一首が読まれた瞬間、畳をたたく音が張り詰めた空気を切り裂いた。大津市の近江神宮で1月6日に開かれた競技かるた日本一を決める名人位決定戦。越前市の川崎文義さん(29)は3連覇を達成し「名人の品格を大切にし、勝ち続けたい」とさらなる高みを目指すことを誓った。

 競技かるたは小倉百人一首を使い、自陣と敵陣の札を取り合い、先に自陣の札をなくした方が勝者となる。かるたに打ち込む女子高校生を描いた映画「ちはやふる」がヒット、各種の大会もクローズアップされ、競技人口が増え続けている。

 川崎さんが初めてかるたに触れたのは小学1年生の秋。越前市で小中学生の大会に出場したが、3位という結果に満足できず、「生来の負けず嫌いに火が付いた」。

 両親の協力を得て、自宅から車で往復2時間かかる福井市の道場に入門。多いときで週5日通い、社会人らと深夜まで対局する日々を高校まで送った。

 競技かるたの名門とされる立命館大に進学、ライバルたちとしのぎを削った。大学4年の平成23年、初めて名人位に挑戦し、持ち味の攻めるかるたで、当時最多の12連覇中だった永世名人の西郷直樹さんに挑んだ。

 5番勝負で3対2の惜敗。悔しさが募る中「名人の礼節や所作から、徹底された品格を感じた」。敗北が自分を見つめ直す転機となり、再挑戦を誓った。

 卒業後、地元で銀行員として多忙に働く一方、週末は朝から晩まで練習に励んだ。初挑戦から5年後の28年に再び名人に挑戦。学生時代からの好敵手だった岸田諭さんを破り、新名人に輝いた。

 3連覇した今、求められる名人の品格を自問自答する。「人としてもっと成長して名人であり続けたい」。バシッ-。きょうも名人がかるたをたたく音が畳に響く。