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沼津市、当初予算案に土地調査費計上 鉄道高架化、新局面に

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沼津市、当初予算案に土地調査費計上 鉄道高架化、新局面に

 ■推進・反対 両派動き活発化

 JR沼津駅付近の鉄道高架事業計画をめぐり、沼津市は平成30年度当初予算案に貨物駅移転用地の土地収用法に基づく調査費用を盛り込む方針を決めた。事業認可から10年以上を経過し、一部地権者らの反対で停滞していた市の懸案事項は、新たな局面に入った。調査費計上を受け、反対派は大沼明穂市長に予算撤回の申し入れを行ったほか、推進派の市民団体は7日夕、シンポジウムを開き、鉄道高架化の早期実現に向けて気勢を挙げるなど、賛否両派の動きが活発化している。 

 鉄道高架事業をめぐっては昭和62年の構想発表から賛否があり、市を二分する議論が繰り広げられている。推進派の「沼津駅の高架化を実現する市民の会」(市川厚会長)が7日夕に開いたシンポジウムには、川勝平太知事らが出席し、商工会議所の関係者ら約1300人が参加した。

 冒頭の挨拶で市川会長は「鉄道高架事業は長年の悲願。悲願を達成し経済の発展を市民全体で作り上げていきたい」と語り、川勝知事は「次世代のために一緒に力を合わせてやっていけたら」と反対派にも呼び掛けた。

 大沼市長は「平成30年度の当初予算に計上した調査費は用地取得をより一層加速するための準備。鉄道高架事業を進めなくては街づくりを進めることはできない」と力強く訴えた。

 「賛成反対どちらでもなく、どちらの声も聞く」。28年10月に事業検証を訴えて当選した大沼市長。29年2月には事業推進の意向を示したため、地権者らの反発を招いていた。

 市は事業実施に不可欠な貨物駅移転の用地確保のため、30年度当初予算案に新車両基地などを含む鉄道施設移転事業として10億9260万円を計上。原地区に予定している貨物駅移転用地の取得に向け、土地収用法に基づく調査費5500万円を盛り込んだ。交渉に応じない地権者の土地の測量などを行う。大沼市長は30年度中の立ち入り調査実施を明言している。現在、新貨物駅の用地取得率は83・5%で、売買に応じていない地権者は32人となっている。

 一方、「鉄道高架を見直し沼津を元気にする実行委員会」は6日、土地調査費の予算計上を受け「公約違反であり、市民を納得させる内容ではない」と調査費の撤回などを大沼市長へ申し入れた。撤回を求める集会には約80人が参加した。

 山下富美子市議は「土地を強制収用しても市には事業を遂行するための力がない」と話す。同会の川口公文代表も「人口流出を防ぐためにも若者や子育て世代の支援など高架事業よりもやるべきことがある」と語気を荒らげている。

(吉沢智美)

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【用語解説】JR沼津駅付近の鉄道高架事業

 東海道線約3.7キロメートルと御殿場線約1.6キロメートルの計約5.3キロメートルを高架化し、13カ所の踏切を廃止、南北分断による慢性的な交通渋滞解消や中心市街地の整備が目的。昭和62年に渡辺朗市長が高架化方針を表明。平成18年に県が事業認可を取得。事業費は約787億円。高架化に不可欠な貨物駅移転予定地(原地区)の地権者反対などで停滞しており、事業期間(~34年度)は延期される見込み。

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 ■JR沼津駅付近の鉄道高架事業をめぐる経緯

 昭和62年 3月 渡辺朗市長が市議会で鉄道高架化方針を表明

   63年 4月 「沼津駅の高架化を実現する市民の会」結成

 平成14年 1月 鉄道高架事業の都市計画決定

   18年11月 県が鉄道高架事業の事業認可を取得

   26年 7月 川勝平太知事が高架事業の推進を表明

   28年 9月 用地買収に反対する地権者らが事業認可の無効確認など求めた訴えを静岡地裁に起こす

   28年10月 沼津市長に事業再検証を訴えた大沼明穂氏が当選

   29年 2月 大沼市長が鉄道高架事業の推進を表明

   30年 2月 市が土地収用の調査費を予算案に計上