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震災の教訓、地元に伝えたい 気仙沼に応援派遣された佐賀市職員・井口さん「復興発信が自分の役割」

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震災の教訓、地元に伝えたい 気仙沼に応援派遣された佐賀市職員・井口さん「復興発信が自分の役割」

 東日本大震災の発生から、今年3月で7年が経過する。今も九州を含め、全国の自治体から応援職員が派遣されている。佐賀市職員の井口貴徳氏(37)は、平成28年4月から29年3月まで宮城県気仙沼市に派遣された。「震災を風化させてはいけない」。地元に戻っても被災地と関わりを持ち続け、教訓を伝えようとしている。

 派遣中の気仙沼市で、津波で4階まで浸水した気仙沼向洋高校の見学会を企画した。校舎は、3階の窓から突っ込んできた車がそのままの姿で残るなど、津波の猛威を物語る。見学会は大きな反響を呼び、校舎の全面保存が決まった。

 「津波を経験しなかった地元の子供や、南海トラフ巨大地震で被災する恐れのある人々が訪れ、防災や減災について考える場所になってほしい」。被災地を離れた今も、そう強く願う。

 大震災では、自治体の指定避難場所すら、津波の被害を受けた。「想定外は津波だけでなく、ゲリラ豪雨や土砂災害でも起こる」。地元・佐賀の講演会で、日頃の備えや、災害時に最新情報を得て、早めに避難することの大切さを訴える。

 被害だけでなく、復興を多くの人に発信することが、自分の役割だとも感じる。

 九州北部の豪雨災害では、気仙沼市のキャラクターが印刷されたポロシャツを着て福岡県に駆け付け、ボランティア活動に参加した。豪雨被害からの復興に、東北の姿を重ね合わせ「少しでも頑張ろうという気持ちを持ってほしかった」という。

 大震災の復興に携わった経験は、かけがえのない財産だ。「被災地とのつながりを持ち続けたい」。その思いは今も頭を離れない。

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 総務省によると、岩手、宮城、福島3県に応援派遣されている地方公務員は、平成29年4月時点で1782人。集計を始めた23年7月は2422人だった。

 高台移転など大型事業が続く沿岸部では、依然として応援職員のニーズが高い。しかし、熊本地震など他の自然災害への応援が相次いだことや、派遣元の自治体の人繰りが厳しく、長期応援を続けられない事情もある。