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【ろっけんグルメ】喜多八(福島市) 本格そばに豊かな鴨の味

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【ろっけんグルメ】
喜多八(福島市) 本格そばに豊かな鴨の味

「鴨南蛮そば」 「鴨南蛮そば」

 JR福島駅から徒歩20分。間近に信夫山を望む。大正9(1920)年創業の老舗で、店主の伊藤喜久夫さん(65)は3代目だ。老舗にありがちな堅苦しさはなく、老若男女のさまざまな客が店に足を運ぶ。

 自慢の「十割そば」は、福島県の品種「会津のかおり」に、山形、岩手両県の農家から直接仕入れたそば粉をブレンドしたものを、伊藤さんが手打ちする。「海老と野菜の天せいろ」(税抜き1500円)、辛味大根をつけ合わせる「高遠せいろ」(1千円)など、目移りする。

 こんなときは、冬の時期に人気と聞いた「鴨南蛮せいろ」(写真、1400円)にしよう。鴨肉は中が少し赤い。火を通しすぎると、肉が固くなり、味が悪くなるためだ。口に含むと、つゆの香りの中から、鴨の豊かな味が広がる。シイタケやシメジ、マイタケなどのキノコ類も顔をのぞかせ、鴨の味を引き立てる。そばとつゆの相性の良さを、伊藤さんは「やさしい」と表現する。舌と胃袋で、やさしさを得心する。

 「先祖からの味を守りつつ、時代に合わせて手を加える」。これが伊藤さんのスタンスだ。若いころ、外で修業したやり方を店に持ち込んで、客足が離れたことがあった。「お客さんは店の味を期待してきている」と気づいた。以来、工夫を重ねながら「喜多八の味」を提供し続ける。

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