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【山形県民の警察官 受章者の横顔】(下)寒河江署交通係長・千原哲警部補

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【山形県民の警察官 受章者の横顔】
(下)寒河江署交通係長・千原哲警部補

 ■「交通死亡1件でも少なく」

 30代で赴任した村山署。警察官人生を決める事故に出合った。国道48号を渡ろうとした6歳男児が大型タンクローリーにひかれた事故だった。

 現場で目に映ったのはタイヤに巻き込まれた男児。目を背けたくなった。男児は即死だった。業務上過失致死容疑で現行犯逮捕された男性運転手は、男児を確認したが、「渡らないだろう」という思い込みが招いた事故だった。

 現場に目撃者はおらず、事故の話は一緒にいた女児にしか聞けなかった。女児はショックで口がきけなかったが、しっかり覚えていた。事故は、友人の家に遊びに行くために信号のない国道を渡ろうと、男児が女児の手を引いた直後に起こった。とっさに手を振りほどいた女児は難を逃れた。

 突然に、そして予期せず起こる交通事故。「ふつうの人が加害者にも被害者にもなる。それが交通事故。怖いものです」。以後、警察官としての方向が決まった。交通部門ひと筋で働こう、と。勤続33年余のうち28年余を迷わず交通部門で働いてきた。

 交通事故の多くは人間の過失によるが、人間以外の要素もあると考える。道路環境、人や車両の往来の多寡など、交通事故の発生状況を分析し、事故抑止に効果的な対策を考えて、実際に減らしてきた。これは交通警察官でなければできない仕事だ。そして日々、自分を戒める。「交通死亡事故を1件でも減らしたい」と。(柏崎幸三)