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【新春インタビュー】山口フィナンシャルグループ・吉村猛社長(57)

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【新春インタビュー】
山口フィナンシャルグループ・吉村猛社長(57)

 ■起業家を発掘し継続支援

 歴史的な低金利が続きますが、収益源はやはり本業だと思っています。資金需要を丁寧に掘り起こしていきたい。そのために大きく3つの柱が挙げられます。個人・法人を含むコンサルティングビジネスと、投資ビジネス、それから地方創生です。

 コンサルティングビジネスの中で、法人顧客には事業性評価のプロセスを通じて、その経営ニーズに応えたい。

 2年前、本店の審査部を事業性評価部に変え、本店以外にも複数の拠点を設けました。地域の経営者のニーズを取り込み、現場のことを現場で判断する狙いがありました。

 2年がたち、行員に「聞く」意識は広がってきましたが、まだまだです。もっともっと、経営者のニーズに寄り添ってほしい。(提示する)解決策にも改善の余地がある。より付加価値の高い提案が課題です。

 個人顧客に対しては、人生設計の上での資産形成や、資産運用のニーズを取り込んでいきます。

 ◆活性化プロセス

 2点目の投資ビジネスは、ベンチャーや第2創業を含め、これまでの融資で手が届かなかった企業も対象とします。

 昨年から、大学と組んで、起業家を発掘するプログラムを始めました。今年は、発掘した起業家を育てるプログラムに取り組みます。

 「起業といえば福岡」みたいな雰囲気があるでしょう? 今は福岡に全部持っていかれている(笑い)。

 この状況を何とかしたい。地元からの起業がないと、長期的な人口減少で、経済がどんどん衰退します。若い人の起業ムードは、活性化の一つのプロセスです。

 行政とも手を結び、山口を実証試験の舞台として、ベンチャー企業を呼び込めるようにしたい。

 ゆりかごから成人まで、じゃないですが、ベンチャー企業を継続的に支えていく。つまり、起業家を発掘し、育て、投資して、コンサルティングもやって、経営が軌道に乗ったら融資に変えていく。一連の流れをパッケージとして、考えています。

 投資ビジネスと関連するのですが、地方創生も収益源として期待できると思います。昨年、山口県産の食品を首都圏などに売り込む「地域商社やまぐち」を設立しました。地方創生関連のビジネスは、小さくても良いので地道に拡大していきたい。

 ◆働き方改革

 メガバンクは、AI(人工知能)導入を見据えて、人員削減の流れを強めています。私たちも考え方は同じです。ただ、人員削減ではなく、AI導入によって業務量が浮いた分、顧客のサポートに回したい。生産性の向上は、働き方改革にもつながるでしょう。

 AIは、新たなビジネスを広げてくれるものだと思う。AIによるビジネスマッチングも考え始めました。

 まだ漠然としたものですが、私たちが持つ情報を集約し、分析・加工して、地域経済の活性化に使える情報に変えていく。取引先へのサービスの一環かもしれないし、誰でもアクセスできるものになるかもしれない。今年から、実験を始めたいと思っています。

 よく「ビジネスマッチングカフェ」みたいな場所がありますよね。といっても物理的な制約があり、マッチングは人間の記憶や経験に頼っていた。これをAIに変えれば、より多くの情報から、最適な選択ができるんじゃないでしょうか。

 金融機関にとって、AIは決済サービスにとどまらないはずです。

 地域経済には、アベノミクス効果が徐々に出てきたと思います。製造業、医療、サービス業など、あらゆる業種で設備投資が増えつつあり、貸出総額も増加基調です。今年もこの流れに期待したい。

 地域商社やまぐちの商品で、爆発的なヒットを生みたい。ジネンジョのふりかけや酒かすのケーキなど、販売する食品はほとんど試食しましたが、どれも最高でした。こうした山口県産品が、東京でたくさん売れたら良いなと考えています。 (大森貴弘)=おわり