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「捨て犬の希望の星に」 山口で殺処分逃れた雑種タック、警察犬目指し訓練

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「捨て犬の希望の星に」 山口で殺処分逃れた雑種タック、警察犬目指し訓練

 前の飼い主に捨てられ、殺処分寸前で保護された1歳の雑種犬タックが、山口県警の嘱託警察犬を目指し訓練に励んでいる。飼い主で作家の山本直子さん(50)=山口市=は「今年は戌年。野良犬や捨て犬の希望の星になってほしい」と期待を込める。

 訓練士の末岡賢志さん(40)=同県山陽小野田市=に導かれ、タックは練習場に出る。遺留品を想定し芝生の上に置かれた割りばしや布切れなどを、においを頼りに順番通りにたどっていく。リードをピンと引っ張りながらぐいぐい進み、最後の白い布切れを発見。頭をなでられると、うれしそうに舌を出した。

 タックは平成28年10月、生後約5カ月で県内の保健所に捨てられた。人への警戒心が強く、近づくとうなって威嚇した。「それでも私が保護しなければこの子は死んでしまう」。会員制交流サイト(SNS)の投稿で知った山本さんが、殺処分の前日に保護した。

 山口市の訓練所に半年預け、徐々に人に慣れ始めた。訓練士は「嗅覚と追跡能力がずばぬけている」とタックの能力を指摘。警察犬育成を手掛ける末岡さんの訓練所に、移ることになった。

 年に1度ある県警の嘱託警察犬資格審査には、遺留品のにおいから捜索対象者の跡をたどる「足跡追及」と、台に置かれた複数の布などの中から犯人と同じにおいの物を選ぶ「臭気選別」の2部門がある。

 昨年11月の試験で、タックは足跡追及に挑戦したが、不合格。警察犬は事件のほか、行方不明者の捜索などさまざまな場面で能力を発揮する必要があるが、慣れない環境に驚いて尻尾を丸め、びくびくした様子だったという。

 今年の課題は、人混みなど普段と違う状況でも能力を発揮すること。末岡さんは、交通量の多い幹線道路や人が多い場所にタックを連れ出し、特訓を続けている。