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機械式時計人気、高度技術者に脚光 大津の専門学校、人材育成に力

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機械式時計人気、高度技術者に脚光 大津の専門学校、人材育成に力

 ■時計を修理、思い出再生

 高級機械式時計の人気が続き、高度な手作業で修理できる技術者が求められている。貴重な人材を育成しているのが大津市神宮町の近江時計眼鏡宝飾専門学校だ。日本で初めて時刻制度を定めたとされる天智天皇を祭る近江神宮の境内にあり、静かな環境の中、約20人の生徒が3年かけて腕を磨く。

 神宮の森に抱かれるように立つ校舎。白衣姿の生徒たちが顕微鏡をのぞき、数ミリの部品をピンセットで組み合わせる繊細な作業を続けていた。

 「自分で考えたように形にできるのが時計作りの魅力」。1年生の竹山徹哉さん(36)は構想から完成まで手掛ける物作りがしたいと脱サラ。10歳以上若い同級生たちと机を並べる。

 全国の時計店の後継者に技術指導しようと昭和44年、同校の前身の研究機関が設立された。だが1970年代に入り、高価な機械式時計より安価で壊れにくいクオーツ式時計が普及。修理の需要が減るなどし、多くの時計店が倒産した。

 日本時計輸入協会(東京)によると、バブル期以降、機械式時計に人気が出てきたが、修理に対応できる技術者は高齢化が進み、業界は慢性的に人手不足。国内でも数少ない時計専門学校の一つの同校への求人はここ数年、1倍超が続く。

 卒業生の木下新九郎さん(35)は時計や宝飾品を扱う「ミノル」(大阪府守口市)に就職し、修理専門店の店長を務める。「初任給で買った」「親から譲り受けた」など、店には思い出の宿る時計が持ち込まれる。「『修理』ではなく『思い出の再生』という気持ち。お客さまを笑顔にするため日々勉強です」と語る。

 ただ同校講師の伊藤光俊さん(45)は「将来が明るい業界ではない」と指摘する。時計の仕組みが複雑化し、人の手による修理が難しくなってきているためだ。一方で同校には「20年以上前の時計を修理して」といった依頼が絶えない。

 「古いものを使い続けたり求めたりする人がいる限り、この仕事はなくならないかもしれない」