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100年後につなぐ「私の1冊」 徳島県立図書館で企画展

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100年後につなぐ「私の1冊」 徳島県立図書館で企画展

 未来の誰かに読んでもらいたい本はありますか-。昨年、創立100周年を迎えた徳島県立図書館(徳島市)が「100年たっても読みたい本展」を開催している。さまざまな「私の1冊」が幅広い世代から集まり、それぞれの思いがこもった推薦のメッセージも添えられている。

 「困難に耐える力、美しい白鳥の姿に愛を感じ、夢(生きる目的)を託しました。この物語は私の救世主であり、全ての人に夢と希望を送り続けることでしょう」

 本と推薦文のパネルが並ぶ図書館2階の特設コーナー。幼少期に容姿をからかわれ、人間不信に陥ったという81歳の女性が推すのは、児童書「みにくいあひるの子」だ。

 「昔も今も変わらない日本人の心に触れてほしい」と紹介されている「万葉集」のほか、阿波おどりの情景を美しく描いた、さだまさしさんの「眉山」、「ハリー・ポッター」シリーズ、漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の小説版といった現代の作品もある。

 図書館は大正6年、大正天皇の即位を祝い「徳島県立光慶図書館」として開設。平成2年に現在地に移転した。徳島市出身の作家、瀬戸内寂聴さんも幼少期に光慶図書館に通い、本の世界に浸った。

 企画のヒントになったのは、100年前に寄贈された幸田露伴の著作など5冊の蔵書。太平洋戦争末期の空襲などで図書館の本の多くが焼失したが、昨年5月、偶然にもこの5冊が書庫から見つかった。

 戦火をくぐった本を目にし、本が後世につながっていくのを実感した職員が今回の催しを計画。図書館が昨年7~10月に公募すると、約500冊が集まった。職員の宇山博子さんは「皆さんの思い入れがある本が次世代に託され、読み継がれてほしい」と話している。28日まで。