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くまモン海外利用解禁に波紋 県内企業の反発相次ぐ 知事は「長期的にプラス」

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くまモン海外利用解禁に波紋 県内企業の反発相次ぐ 知事は「長期的にプラス」

くまモンの海外利用解禁について、記者会見で見解を述べる蒲島郁夫知事=18日、熊本県庁 くまモンの海外利用解禁について、記者会見で見解を述べる蒲島郁夫知事=18日、熊本県庁

 熊本県がこれまでは原則、海外では認めてこなかった県のPRキャラクター「くまモン」のイラスト利用に関し、海外企業による関連商品の製造、販売を解禁したことが波紋を呼んでいる。海外解禁で、関連商品を輸出してきた県内の企業には海外からの取引キャンセルが相次ぎ、不満が広がる。県はあくまで悪質な不正利用を防ぎ、ブランド価値を守るのが狙いだとして、理解を求める。(谷田智恒)

 県は従来、県内に本社か製造拠点を置く企業に限り、登録すれば、無料で海外でのくまモンの関連商品の製造、販売を認めてきた。

 だが、今月8日から、商品の小売価格の5~7%の利用料を県側に支払う条件で、海外企業にもイラストの利用を解禁した。

 県は急増する偽物対策に迫られており、利用料は不正利用防止の仕組みの構築に充てると説明した。

 海外で日本発アニメの著作権の管理を受託する広告代理店と連携し、海外解禁を、県産品の販路拡大や、インバウンド(訪日旅行)の誘致にもつなげようとも考えた。

 他にも、くまモンが主役のアニメを吉本興業などとタイアップして制作し、国内外に配信する案も打ち出した。

 ところが、地元の企業は一斉に、海外解禁に反発した。県が15日、開いた地元企業向けの説明会には、48社が参加したが、「こちらの声も事前に聞いてほしかった」といった批判が続出した。

 中国に工場を置き、ぬいぐるみや文具を製造するある企業は「くまモン関連商品の半分は、香港や台湾に輸出してきたが、海外解禁のニュースが出た途端、取引キャンセルが600万円も出た」と悲鳴を上げた。

 熊本県にも言い分はある。海外、特に中国ではくまモンの偽物商品が横行し、早急な対応を迫られていたからだ。

 県は昨年、中国でインターネットを通じ販売されている関連商品のサンプルを採取した。その結果、54件中、熊本県の許可を得ていた商品は、わずか3件。残りは不正利用だった。

 県の担当者は「それもあくまで氷山の一角だ。中国には『うちは、日本から著作権の管理を任されているんだ』と嘘を並べ、商売をする悪徳業者までいる。このまま粗悪品を放置すれば、熊本のブランド価値は下がるばかり」と、ため息をつく。

 県は海外企業にも利用は認めながらも、地元企業の経営面への影響が出るのは避けられないとみている。

 そこで、地元企業が関連商品を輸出するのに必要なくまモンのイラスト利用料については、小売価格の3~5%程度と、海外企業の場合よりも低くするといった優遇措置を取る。

 蒲島郁夫知事も、18日の記者会見で「不正利用の防止が県内企業の営業活動を守ることにもつながる。県内企業にもビジネスチャンスが生まれ、長期的にはプラスになる。地元企業からの意見は受け止め、企業をサポートする」と述べ、理解を求めた。

 その上で「くまモンを世界中に解禁し、ミッキーマウスのように100年も愛される存在になることで、熊本や日本の誇りにしたい」と強調した。