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直木賞 「生活者の賢治に価値」 書店と記念館長、喜びの声 岩手

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直木賞 「生活者の賢治に価値」 書店と記念館長、喜びの声 岩手

 岩手ゆかりの作家が2期連続で芥川賞受賞。盛岡市のさわや書店フェザン統括店長の田口幹人さんは「これまで培われてきた『文学の国いわて』が花開いた感じ」と率直にうれしさを表した。

 若竹さんは作品で、岩手の方言を駆使。田口さんは「方言の使い方が抜群。心の声として、(30歳まで過ごして)自分を確立した岩手の方言を用いたことが成功した」と高く評価した。

 小説のタイトル「おらおらでひとりいぐも」は、宮沢賢治が死にゆく妹トシの姿をしたためた詩「永訣(えいけつ)の朝」の一節で、トシが死に際に発した言葉。

 田口さんは、若竹さんが「逝ぐ」だった「いぐ」を「生ぐ」に置き換え、「老境にある人が目的を持って人生を生きていくことを指南した本」との見方を披露した。

 直木賞を受賞した門井さんの「銀河鉄道の父」については、「父親が息子をみる形で、文学者としての賢治ではなく、社会人、生活者としての賢治の姿を描いたことに価値がある」と語った。

 「雪子さんの足音」で芥川賞候補になった木村紅美さん(42)も、「困難に直面した時は『銀河鉄道の夜』を読み返す」というほどの賢治の愛読者で、両親は盛岡市に在住と、ゆかりが深い。

 宮沢賢治記念館(花巻市)の鎌田広子館長は、今回の芥川賞と直木賞の受賞作について、「賢治のことを知っていただく機会になり、素晴らしい。賢治に関連する本が次から次へと出てくることはすごい」と喜んだ。

 両作品とも最近読んだといい、「個人的な感想」と前置きした上で、「おらおらでひとりいぐも」について、「年を重ねていく意味が、主人公の気持ちからよく分かる」「銀河鉄道の父」については「長男だった賢治へのまなざし、父親の感情がとても伝わり、感動した」と話した。