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熊本市の30年後は…中心市街地で理想の街づくりを 地元経済界が戦略プロジェクト

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熊本市の30年後は…中心市街地で理想の街づくりを 地元経済界が戦略プロジェクト

 熊本商工会議所(会頭=田川憲生ホテル日航熊本会長)と熊本経済同友会(代表幹事=甲斐隆博肥後銀行頭取、本松賢テレビ熊本会長)が、熊本市の30年後を描いた「熊本市中心市街地グランドデザイン2050」を発表した。熊本地震からの「創造的復興」の取り組みを通じ、理想の街づくりを進める。熊本城を観光面などでフル活用し、世界中の人々が集う都市を作る。(谷田智恒)

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 5日、熊本市中央区のホテルで熊本商議所などの新年祝賀会が開かれた。

 同商議所の田川氏は地元経済界の関係者ら約400人を前に、「熊本市の30年後を見据えた街づくりを産官学一体で実現したい」と抱負を述べた。

 続けて、同友会の甲斐氏も「熊本地震による『災い転じて福となす』と後世に語られるようなきっかけを作り、努力すべき時にきている」と、熊本の将来に向け、中長期的な観点から人口減少などの課題に向き合う必要性を訴えた。

 地元経済界は、これまでも「将来は持続可能な街づくりが必要だ」との認識を持っていた。

 同友会は平成27年秋、自らが主催したフォーラムでビジョン策定を図りたいと提案した。その後、熊本地震が起きたこともあり、熊本の中心市街地の都市構造を改めて見直すべきだとの機運が高まった。

 同友会などは、熊本大工学部の街づくりの専門家らの協力も得て、夢物語ではなく、現実に即した街の発展可能性を探り、2年がかりで将来像をまとめた。

 まず、熊本を世界から注目され、親しまれる多文化交流都市「世界に拓(ひら)く『城下町都市』くまもと」を目標に掲げた。

 その上で、熊本城周辺の中心市街地415ヘクタールを6つのエリアと城下町都市回遊路とに区分し、全体で7つのプロジェクトを打ち出した。

 その一つ、「歴史回廊整備プロジェクト」では「熊本城域を今後100年かけ、(明治10年の)西南戦争以前の姿に整備する」と定めた。

 具体的には今後、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)も活用し、熊本城の案内システムを導入する。

 また、城の歴史や文化、熊本地震からの震災復旧のプロセスを学び、城下町の文化を新町・古町界隈(かいわい)で体感できる回遊路を整備することも提言した。

 熊本城前のエリアを整備するプロジェクトでは、大規模な改修が必要な建物などについてはそれぞれの機能に合わせ、配置の仕方を見直し、ホテルなど街に活力を生み出す牽引(けんいん)役となる施設の立地を誘導する。

 若者や外国人の熊本への定住を促すプロジェクトでは、九州全域から生徒が集うインターナショナルスクールの誘致を図る。

 今回のデザイン策定の旗振り役となった田川氏は記者会見で「作成の段階から実現可能性を重視した。『提言したら、終わり』ではない」と強調した。

 とはいえ、今後は経済・社会的な急激な変化も予想される。街づくりの中長期的なビジョンを、不断に見直すことは欠かせない。

 そのためにも、同商議所などは、地域に密着しながら粘り強く地域の活性化を図り続ける「まちづくり推進組織」を作るべきだと、具体的な検討に入った。

 今回、発表されたグランドデザインで訴えた方向性を熊本県や県都、熊本市などの行政サイドとも共有を図る。

 その上で、この先、10年間程度をかけ、産官学で実現させるプロジェクトの詳細をさらに検討し、今夏にも開かれる「くまもと都市戦略会議」での決議を目指す。