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ありのままの阿蘇発信 写真家・長野氏、被災現場・復興の動き記録

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ありのままの阿蘇発信 写真家・長野氏、被災現場・復興の動き記録

熊本県南阿蘇村河陽地区でカメラを構える写真家の長野良市氏 熊本県南阿蘇村河陽地区でカメラを構える写真家の長野良市氏

 熊本県南阿蘇村を拠点に活動する写真家で、平成28年4月の熊本地震で被災した長野良市氏(60)が、村を中心とする被災現場の撮影を続けている。「ありのままの姿を知ってほしい」と復興の動きも記録し、定期的に写真集を出している。

 28年4月16日未明、木造住宅の1階で寝ていたときに本震が襲った。廊下にあった高さ1・8メートルの本棚が倒れ、外壁には多くのひびが入った。別の部屋にいた妻や息子夫婦らの無事を確認し、カメラを手に外に出た。

 村内の東海大農学部の学生アパートでは1階がつぶれ、救助隊員の捜索が続いていた。ぼうぜんと立ちすくむ学生の姿に、シャッターをなかなか切れなかった。阿蘇大橋の崩落現場にも向かい、砂ぼこりが巻き上がる中、撮影。後日、東海大生3人が犠牲になったと知り「現場を見た自分こそが発信しなければ」と誓った。

 温泉施設の解体作業や被災道路の開通式、長期避難世帯指定が解除された集落の住民の様子など、復興に向けた動きもカメラに収め、撮影カットは10万点近くに上った。その中から被害の様子がよく分かるものを選び、写真集7冊を自費出版してきた。

 「口を閉ざしていた人もようやく語り始めた」。今は主に、被災した人々が思いを語る姿を撮り続けている。